研究課題
Mycobacterium avium subsp. paratuberculosisの経口感染により、牛・羊・山羊など反芻獣に慢性肉芽腫性腸炎をおこす家畜法定伝染病のヨーネ病は、診断・淘汰により防疫対策が実施されている。診断には臨床症状、糞便材料を用いた菌培養および菌遺伝子検出と、免疫応答を検出する血清抗体スクリーニング等により行われる。菌培養は時間を要し、遺伝子検査は高感度で特異性高いが生死菌の区別がつかない。また現行の免疫学的検査法は、ヨーネ菌の粗抽出抗原を用いるため環境細菌である近縁種等に対する交差反応等で偽陽性出やすいため、より特異性や感度の高い抗原が求められる。一方ヨーネ菌感染において宿主免疫反応抑制に関する報告があるが、宿主免疫反応と病態についての詳細は解明されていない。本研究では、生命情報解析によるヨーネ菌特異遺伝子抗原検索とスクリーニングを行い、選抜抗原遺伝子の組換えタンパク発現・精製、実験感染牛血清を用いた反応性解析を行った。さらに、野外牛血清を用いた反応性検討、特異性と感度向上のための条件検討を試みた。その結果、免疫牛血清が著明に反応する3抗原遺伝子を選抜し、各組換えタンパク発現系から精製タンパクを得た。実験感染牛より経時採取した血清抗体の各精製タンパクに対する反応性は、糞便からの菌遺伝子検出結果や培養陽性結果に対応する著明な反応性上昇を示した。病態進行の早い実験感染個体ではIgM反応性良好だがIgG反応性上昇は認められなかった結果は、クラススイッチした抗体産生抑制と病態進行とが関連する可能性を示す。野外牛血清を用いた抗体反応性検討では、菌遺伝子検出や既存のスクリーニング検査結果との不一致も認められたため、更なる検討を要する。
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J. Infect. Dev. Ctries.
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J. Immunol. Res.
巻: 2017 ページ: 12pages
https://doi.org/10.1155/2017/4797856