研究課題/領域番号 |
26460655
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
荒川 敦 順天堂大学, 医学部, 准教授 (70245695)
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研究分担者 |
堀本 義哉 順天堂大学, 医学部, 助教 (40424246)
北野 滋久 国立研究開発法人国立がん研究センター, 先端医療科, 研究員 (60402682)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 乳癌 / 乳腺髄様癌 / 腫瘍浸潤リンパ球 |
研究実績の概要 |
われわれの2年次における成果としては、初年度の段階と同様で継続的に乳腺髄様癌のリンパ球の役割を調査するために、対象となる通常型の浸潤性乳管癌のリンパ球の浸潤の程度、様式、頻度、形態を調べることを、継続している。リンパ球の浸潤の程度と浸潤の仕方のスコア化を確立するためにも、初年度と同様に過去の発表研究論文を参考にしながら、また、tumor infiltrate lymphocyte (TIL)のワーキンググループの発表なども参考にしながら、我々の施設おける独自のスコア化に向けて、継続的に準備を進めている。また、同様に当院で手術された髄様癌の病理組織像、形態、臨床情報の収集をし、まとめていき、臨床病理学的検討も可能なように、準備を進めている。通常型の浸潤性乳管癌の癌巣内のリンパ球の浸潤に関しては、非常に個体差があり、またその程度の客観的評価が非常に難しいことがわかりつつある状態である。初年度同様、リンパ球の浸潤の程度と形態における分類が必要不可欠であるため、その分類法においての確立が、先決と考える。また、髄様癌においては、そのリンパ球の浸潤の程度や形態についての臨床的項目との相関性がまだ、確実でなく、髄様癌においても同様で、通常型よりは、予後が良好であること以外は不明である。よってリンパ球の浸潤の程度・形態の分類法の確立が必要と考え、その構築を継続している。現時点で考えうる通常型浸潤性乳管癌と髄様癌に浸潤しているリンパ球の特徴と傾向をまとめていく必要もあり、免疫染色等の技術を用いながら、その差異、特徴をとらえることを継続している。少なくとも免疫染色等での差異、または、共通点を明らかにしていきながら、今後の癌に浸潤しているリンパ球の特徴の解明とともに腫瘍免疫の一端を明らかにしていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度同様、髄様癌の頻度自体が少なく、また、生検検体で髄様癌の確定診断が困難で、生の検体を凍結保存という状態にまでいたらなかった。髄様癌たけでなく、通常型の浸潤性乳管癌におけるリンパ球の浸潤形態が、個体差が広くなかなかクリアカットに分類が不可能であったが、傾向をとらえるために相当数の症例のレビューが必要となってしまった。また、浸潤しているリンパ球の表面マーカーを調べるためにも、われわれの施設にも限界があり、思うような差異をとらえるまでにいたらなかった。手術前の腫瘍生検による髄様癌の正確な確定診断自体が、困難で数例は、新鮮凍結検体の入手に失敗した。
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今後の研究の推進方策 |
今後も継続的に髄様癌のみでなく、通常型浸潤性乳管癌のリンパ球浸潤に関してもリンパ球の解析も続けていく事が必要と考える。過去の研究論文を参考にしながら、リンパ球の浸潤の程度と形態による分類の確立を継続していき、独自のスコア化の確立のための解析を続けていくことが必要と考える。われわれの施設にあるリンパ球解析装置でまずは、わかることすべてを明確にしておき、がんセンターにあるリンパ球の解析装置でさらなる詳細な解析をしていく。また、逆にそのリンパ球を動かしている腫瘍細胞の因子に関しても、解析をトライし、広げていきたいと考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者が、予定の額を使いきらなかったため繰越金が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
抗体、薬品に使用する予定である。
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