研究実績の概要 |
高コレステロール血症患者におけるHDLスフィンゴミエリン組成とキャピラリー等速電気泳動によるHDL亜分画との関連 高比重リポ蛋白(HDL)は動脈硬化の抑制因子として大きな役割を演じる。しかし、近年、HDL-C値は必ずしもHDLの機能(function)を反映しないことが分かってきた。HDLの主な働きは、コレステロール逆転送系における役割とされている。その他に、HDLは抗酸化作用・抗炎症作用などの多面的作用がある。 HDLは、血中において組成及び粒子径の異なる粒子として存在し、様々な修飾を受ける。血漿HDLは、密度及び電気泳動移動度によりpreβHDL, HDL3, HDL2などに亜分画される。HDL機能の測定は、血液環境の変化を反映するので、動脈硬化のバイオマーカーとしての有用性が注目されている。 HDL粒子は脂質と蛋白質の複合体であり、中性脂質(主にコレステロールエステル)からなるコアと、両親媒性脂質(リン脂質と遊離コレステロール)及び蛋白質(主にアポリポ蛋白質)からなる外層で構成されている。HDLの脂質単層膜に含まれるリン脂質は、主にホスファチジルコリン(PC)、スフィンゴミエリン(SM)、とリゾPC(LPC)などがある。リン脂質の組成はHDLの機能を反映するかは不明である。本研究は、簡便なHDL機能測定方法及びHDL機能測定の臨床意義を検討することを目的とする。 高コレステロール患者において、血清中の脂質(TC, TG, HDL-C, LDL-C)、HDL分画中のリン脂質(PC, SM, LPC)濃度、キャピラリー等速電気泳動(cITP)法によるHDL亜分画(fHDL, iHDL, sHDL)を測定した。血清PC, SM, LPC濃度は自動分析装置を用いて測定した。 高コレステロール患者におけるHDL分画のリン脂質の組成とcITP HDL亜分画の関連についてデータ解析中である。
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