研究課題/領域番号 |
26460664
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
瀬川 波子 福岡大学, 医学部, 准教授 (80352251)
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研究分担者 |
三浦 伸一郎 福岡大学, 医学部, 准教授 (20343709)
朔 啓二郎 福岡大学, 医学部, 教授 (40183371)
今泉 聡 福岡大学, 医学部, 講師 (60609478)
岩田 敦 福岡大学, 医学部, 講師 (00412586)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 動脈硬化 / 虚血性心疾患 / リポ蛋白 / HDL / LDL / リン脂質 |
研究実績の概要 |
高比重リポ蛋白(HDL)は虚血性心疾患発症の負の危険因子として確立されている。HDLの主な働きは、コレステロール逆転送系における役割とされている。その他に、HDLは抗酸化作用・抗炎症作用などの多面的作用がある。しかし、HDLは血液中において様々な修飾を受けることが知られている。 喫煙は虚血性心疾患の独立した危険因子である。喫煙者では、酸化・変性した低比重リポ蛋白(LDL)が増加する。HDLはLDLの酸化脂質を回収してLDLの酸化を抑制する作用がある。従って、喫煙がHDLの機能に影響をする可能性がある。実際、喫煙者において禁煙がHDL機能を改善したと報告した。 HDL粒子は脂質と蛋白質の複合体であり、中性脂質(主にコレステロールエステル)からなるコアと、両親媒性脂質(リン脂質と遊離コレステロール)及び蛋白質(主にアポリポ蛋白質)からなる外層で構成されている。HDLの脂質単層膜に含まれるリン脂質は、主にホスファチジルコリン(PC)、スフィンゴミエリン(SM)、とリゾPC(LPC)などがある。HDLのリン脂質組成は、HDLの機能において重要と考えられる。本研究は、HDLの機能の簡便な測定法及び臨床意義を検討することを目的としている。 喫煙者において、禁煙前後の血清中の脂質(TC, TG, HDL-C, LDL-C)、HDL分画中のリン脂質(PC, SM, LPC)濃度、キャピラリー等速電気泳動(cITP)法によるHDL亜分画(fHDL, iHDL, sHDL)、及びHDL機能測定を分析した。血清PC, SM, LPC濃度は自動分析装置を用いて測定した。HDLの機能測定としてコレステロール引き抜き能及び炎症指数(HDL inflammatory index)を測定した。 喫煙者においてHDLリン脂質の組成とHDL機能との関連及び禁煙の影響についてデータ解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H27年度に計画した“虚血性心疾患危険因子を有する患者におけるHDLリン脂質とHDL機能測定との関連”についての実験測定は予定通り終了し、データ解析と論文作成は進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
H28年度に、糖尿病合併ハイリスク冠動脈疾患患者において、PCI(冠動脈インターベンション)後、高脂血症治療と糖尿病治療薬投与期間中のHDL関連パラメーターの変化及びIVUS(血管内超音波)による冠動脈プラーク体積とプラーク組成の変化を測定し、HDL機能測定と冠動脈プラークとの関連を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
H27年度で終了した“虚血性心疾患危険因子を有する患者におけるHDLリン脂質とHDL機能測定との関連”の研究では、共同研究を組んだことによって節約ができ、繰越金ができた。
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次年度使用額の使用計画 |
繰越金と翌年度以降に請求する研究費は、“冠動脈疾患患者においてHDL機能測定と冠動脈プラークとの関連”という課題の検討に使用する。主に、血清バイオマーカー測定とデータ解析に使用する。
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