研究課題
今年度は対象者として2型糖尿病及び非糖尿病患者 計100例の症例数を目標としたが、現在まで糖尿病患者3例、非糖尿病患者9例の計12例しか募集することができなかった。12症例全員に対して、日内血糖変動、臨床的動脈硬化検査を実施し、採血にて血糖、HbA1c、脂質、酸化ストレス、CRP等のバイオマーカーを測定し、糖尿病群と非糖尿病群の2群間でそれぞれの項目についてt検定、糖尿病群及び非糖尿病群において日内血糖変動と臨床的動脈硬化検査との相関関係を解析した。その結果、糖尿病群の空腹時血糖値、HbA1c、酸化ストレス度(d-ROMs)、日内の最高血糖値、日内の平均血糖値、日内の血糖値の標準偏差は、非糖尿病群の値に比べそれぞれ有意(P<0.05)に高値を示した。しかし、糖尿病群の心臓足首血管指数(CAVI)、頸動脈内膜中膜複合体厚(IMT)は非糖尿病群の値に比べそれぞれ高い傾向にあり、糖尿病群の血流(内皮)依存性血管拡張反応(FMD)は非糖尿病群の値に比べ低い傾向にあったが、有意ではなかった。また、糖尿病群において日内の血糖値の標準偏差はCAVIと有意ではないが、正の相関を示す傾向にあった。一方、非糖尿病群において日内の血糖変動と臨床的動脈硬化検査値との有意な相関はなかった。以上より、糖尿病患者では非糖尿病患者よりも日内の血糖値が高く、血糖変動幅が大きく、血管の動脈硬化が進展している傾向にあった。また、非糖尿病患者では存在しなかったが、糖尿病患者では日内の血糖変動幅が大きいと動脈硬化度が高まる傾向にあった。よって、糖尿病患者では食後高血糖により血管の動脈硬化が進展している可能性が示唆された。しかし、本研究では症例数が少ないため有意な結果は得られなかったが、今後は糖尿病患者及び非糖尿病患者の症例数を増やし、日内血糖変動と血管の動脈硬化との関連について、より詳細に検討していく予定である。
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