研究課題
血管内皮細胞が放出するRNase活性は血球が放出するRNase活性に比べて50倍高く(60分後)、また時間が経つにつれて活性が上がっていることを明らかにした。RNase 1のmRNAレベルの発現は血管内皮細胞が血球の2.6倍で最も高かったが、RIのmRNAレベルの発現に大きな差は見られなかった。タンパク質レベルの発現においても血管内皮細胞から放出されるRNase 1の発現は血球に比べて高く、RIの発現に差は見られなかった。Post-embedding methodを用いて血管内皮細胞と血小板におけるRNase 1の局在を検討したところ、RNase 1がvon Willebrand factor (VWF)と一部共局在している様子が見られた。VWFは血管内皮細胞ではWeibel-Palade bodies (WPB)と呼ばれる分泌小胞に、血小板ではα顆粒に局在することが知られているが、この方法では細胞小器官をはっきりと観察することはできなかった。そこでPre-embedding methodを用いたところ、Post-embedding methodよりも鮮明な像を得ることができた。以上よりRNase 1はVWFと血管内皮細胞ではWPBで、血小板ではα顆粒で一部共局在していることを明らかにした。免疫蛍光染色により、血小板にトロンビンを加えて活性化させることで、血小板中のRNase 1の発現が活性化していない血小板より低下している様子が見られた。そこでトロンビン刺激した血小板上清中のRNase 1、RIのタンパク質レベルでの発現を刺激していないものと比べると、RNase 1、RI共に発現が増加することがわかった。しかしRNase活性に有意な差は見られなかった。RNase 1と共にRIが放出されたことで、RIがRNase活性を抑制している可能性が示唆された。
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PLoS ONE
巻: 12(3) ページ: e0174237
https://doi.org/10.1371/journal. pone.0174237