研究課題
インドールアミン酸素添加酵素2 (Indoleamine 2,3-dioxygenase 2;IDO2) は、トリプトファンをキヌレニンに代謝する酵素である。IDO2はIndoleamine 2,3-dioxygenase 1(IDO1)のアイソフォームとして新たに同定されたが、生体内での生理学的役割は明らかとなっていない。本研究では、培養細胞およびノックアウトマウスを用いた解析によりIDO2の生理的機能を解析し、さらにはIDO2発現が腫瘍形成に及ぼす影響について明らかにすることを目的とした。IDO2のトリプトファン代謝能を明らかにするため、IDO2強発現細胞を作製し、培養上清中のキヌレニン量を測定したところ、キヌレニン量の増加が認められた。またIDO2 KOマウス由来マクロファージを培養したところ、野生型由来マクロファージの培養上清中キヌレニン量に比べ有意な減少が見られた。またIDO2強発現細胞を用いて2D-DIGEを行うことで、IDO2の発現に伴い発現が変動する数種のタンパク質を同定した。マウス肺癌細胞(Lewis lung carcinoma cell line; LLC)を用いた担癌マウスモデルにおいて、野生型に比べIDO2 KOマウスでは、腫瘍体積の縮小およびサイトカインの分泌増強が認められた。本研究によりIDO2は生体内のトリプトファン代謝に関与し、IDO2発現の抑制は、抗腫瘍効果を有することが明らかとなった。
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