研究課題
我々は、組織中に少数存在する細胞をその蛋白・遺伝子発現を指標として効率よく分離し、その性質を迅速に同定する方法として、RNAを極力分解させない条件で細胞を蛍光色素で標識し、目的の細胞をfluorescence activated cell sorting (FACS)によって分離した後にRNAを回収・mRNAの発現を定量解析して細胞の性質を同定するmRNA quantification after FACS(FACS-mQ)の開発を続けてきた。今回の研究の開始前まで検討対象としては主として細胞株を使用しており、定量解析にRT-PCRを用いていた。しかし、臨床検体での使用の場合、採取される細胞数に限りがあるため多数回のRT-PCRでの解析に十分な量のRNAの回収は不可能であり、RNA増幅法や次世代シークエンサーでの解析に供することができる高品質なRNAを回収する必要があった。また検査室での検査の実施を考えた場合、再解析が可能なように臨床検体を長期間安定して保存する必要があった。今回の研究では、臨床検体での使用に耐えうるようにFACS-mQのプロトコールの改良に取り組み、固定液にメタノール/PEGの混合物を使用すること、dithiothreitol(DTT)、RNase Inhibitorを適切なタイミングと濃度で使用することにより、検体を-80Cで長期保存することを可能とし、またFACSでの分離後も高品質のRNAの回収を可能とした。この改良法によりT7増幅、Ribo-SPIA増幅等の使用が可能となり、少量の細胞からでも遺伝子発現プロフィールの解析ができるようになった。今後当方法を臨床検体を対象として使用することが可能と考えられ臨床検査としての実用化のめどが立った。
すべて 2017 2016 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件) 備考 (1件)
Clin Pediatr Endocrinol
巻: 26 ページ: 1-7
10.1297/cpe.26.1
Endcr J
巻: 64 ページ: 237-244
10.1507/endocrj.EJ17-0026
Ann Clin Lab Science
巻: 46 ページ: 571-577
http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/labo/www/CRT/CRT%20Home.html