研究課題
本研究の目的は、タンパク質の翻訳後修飾の一つであるタンパク質アルギニンメチル化の病態生理的役割を解明するため、高度にアルギニンメチル(ADMA)化された40S ribosomal protein subunit 2 (RPS2) に焦点を当て、そのタンパク質代謝回転を解析することである。計画に従い実施した研究結果を以下に示した。(1)ADMA化されたRPS2が体内ADMA濃度の主な制御系としての可能性。ラット組織中の遊離型ADMAならびにタンパク結合型ADMAを当研究室で開発した競合阻害ELISA法により測定した。結合型ADMAの組織間における存在量とRPS2ならびにADMA化されたRPS2の発現量はよく合致していた。一方、組織中の遊離型ADMA濃度/結合型ADMA濃度(%)は、ADMAの分解酵素であるDDAH活性レベルと正の相関を示した。以上の結果は、RPS2のADMA化が組織中の結合型ADMA濃度を規定する主要因となることを示唆するとともに、体内の遊離型ADMAの濃度制御にはDDAHが重要な鍵を握っていることを示している。(2)ヒトPRMT3(RPS2を特異的にADMA化する酵素)に対するモノクローナル抗体の作製とエピトープ解析。得られた2種のモノクローナル抗体、C2B6 (IgG2a)およびG1H12 (IgG1)のうち、C2B6はELISAや免疫沈降に適し、そのエピトープはPRMT3のzinc finger ドメイン(50-99 a.a.)と重なる領域にあり、今後の研究遂行に良好なプローブとして働くことが期待される。(3)PRMT1、PRMT3を単独に、あるいはダブルノックダウンさせたHepG2におけるRPS2のADMA化率の変動が認められなかったことから、RPS2のADMA化には他のPRMTsの代償作用のあることが示唆された。
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岡山県立大学保健福祉学部紀要
巻: 22 ページ: 47-56
10.15009/00001297
巻: 22 ページ: 39-46
10.15009/00001296
http://www.oka-pu.ac.jp/