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2014 年度 実施状況報告書

悪性中皮腫の易罹患性を生殖細胞系列ゲノムで診断する方法の考案

研究課題

研究課題/領域番号 26460689
研究機関兵庫医科大学

研究代表者

吉川 良恵  兵庫医科大学, 医学部, 助教 (10566673)

研究分担者 玉置 知子(橋本知子)  兵庫医科大学, 医学部, 教授 (10172868)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード悪性中皮腫 / 易罹患性 / 生殖細胞系列変異 / ゲノム不安定性
研究実績の概要

孤発型悪性中皮腫(MM)患者末梢血ゲノムDNAにおいて、MMのドライバー遺伝子BAP1を搭載する染色体3p21領域内のSNPがhomozygous で連続(run of homozygosity)する例が複数検出された。該当領域が腫瘍では1アレル欠損していることからゲノム不安定性が推測された。そこで、MM腫瘍と対照正常組織を用いCGHアレイ、real-time PCR、マイクロサテライトによる詳細な解析の結果、3p21領域にホモ欠失しやすい遺伝子をBAP1以外に3個見出した。これらの遺伝子はヒストン修飾及びクロマチンリモデリング遺伝子で、BAP1と同様MM易罹患性に寄与する可能性がある。また8患者のMM腫瘍と対照正常組織の塩基配列比較から、転写因子や転写調節遺伝子に生殖細胞系列で1アレルバリアントを有し、腫瘍では該当領域が欠損する例が高頻度に検出された。そこで、検体数を増して腫瘍化への寄与を検証するため、MM患者末梢血ゲノムDNA 40検体について、上記3遺伝子を含む転写調節に関与する約50遺伝子のターゲットリシーケンスを実施した。結果、生殖細胞系列にnonsynonymousで機能喪失型と予測されるバリアントを有している患者が上記3遺伝子にそれぞれ1~2名見つかった。また、転写調節遺伝子を含む別の易罹患性候補遺伝子にも、機能喪失型バリアントが検出された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ターゲットリシーケンスのライブラリ調製キットとしてイルミナ社のTruSeq Custom Amplicon kitを用いた。シーケンスが得られた領域が、Amplicon対象計画時の2/3程度と予想外に少なかった。前述の重要3遺伝子についても全エクソン解析ができず(たとえば全30の内6エクソン解析不能な遺伝子あり)、イルミナ社にCustom Amplicon設計からライブラリ調製工程まで見直しを要求している。イルミナ社での検討が次年度7月頃までかかる見通しであるため、重要3遺伝子については解析不能領域をサンガーシーケンスで塩基配列決定中であり、予想外に手間がかかっている。かつ残りの遺伝子についてはシ―ケンスカバー率が低い点が残念である。

今後の研究の推進方策

現時点では候補に挙げたMM易罹患性寄与遺伝子は、予測ソフトにより機能喪失型バリアントとして推測されたものである。一部検体については、生殖細胞系列1アレルにバリアントを有し、MMで該当領域が欠損しhemizygousになることを確認しており、候補として期待できる。イルミナ社の検討でターゲットリシーケンス系が改良できれば、より検体数を増して解析を進める。結果、MMで機能喪失型バリアント検出頻度の高い遺伝子を見つける。次にsiRNAを用いたノックダウン実験等実施し、機能喪失とMM発症との関連性を検証する予定である。

次年度使用額が生じた理由

人件費が2万円程度不足したため、大学立替えになっており、72,125円残額として残っている。

次年度使用額の使用計画

残額に次年度分を加えて人件費に充当する。残りは次世代シーケンス解析とゲノムコピー数解析用の経費として、計画的に使用予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Rare germline variants of transcription regulator genes in malignant mesothe lioma2014

    • 著者名/発表者名
      吉川良恵、大搗泰一郎、久保秀司、佐藤鮎子、辻村亨、江見充、中野孝司、玉置(橋本)知子
    • 学会等名
      第73回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2014-09-25 – 2014-09-27

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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