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2015 年度 実施状況報告書

悪性中皮腫の易罹患性を生殖細胞系列ゲノムで診断する方法の考案

研究課題

研究課題/領域番号 26460689
研究機関兵庫医科大学

研究代表者

吉川 良恵  兵庫医科大学, 医学部, 助教 (10566673)

研究分担者 玉置 知子 (橋本知子)  兵庫医科大学, 医学部, 教授 (10172868)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード悪性中皮腫 / 生殖細胞系列変異 / 機能喪失型バリアント / BAP1
研究実績の概要

昨年度に引き続き実施した孤発型悪性中皮腫(MM)患者腫瘍ゲノムコピー数解析及び塩基配列解析の結果、BAP1やヒストン修飾及びクロマチンリモデリング遺伝子が日米両患者ともに高頻度に欠損およびシーケンスレベル変異の両タイプが検出されることが確認された。そこで孤発型悪性中皮腫(MM)患者が、生まれつき上記転写調節に関与する遺伝子に機能喪失型のバリアントを有するかどうか調べるため、24遺伝子を対象にターゲットリシーケンスを実施した。解析対象として日本人と欧米人の孤発型MM患者それぞれ107名と40名の末梢血ゲノムDNAを用いた。結果、ヨーロッパの研究では孤発型MMでほとんど検出されないBAP1 germline variantが日本人3名、米国人2名で検出され、またp53のrare variantも一般集団より高頻度で検出された。その他の遺伝子でも各人種集団での頻度が低いrare variantが、MM患者で高い検出頻度で検出され、これらの遺伝子の機能喪失型変異がMM易罹患性に寄与するのではないかと考えられた。候補rare variant (欧米人ではほとんど検出されないが日本人集団では0.9%の頻度) 2種については、アスベスト暴露有日本人MM非発症者49名が有するかどうかも合わせて調べたところheterozygous variantはMM非発症者も有していたが、homozygous variantを有したのはMM患者のみであった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

患者腫瘍検体は保管されていても末梢血は長期間保管されていない機関もあり、正常細胞由来ゲノムDNAの収集が予想以上に大変であった。また純度や分解度の点でNGSシーケンス前のQCをクリアせず精製を繰り返すことも多く苦労した。しかしほぼ目標通りにターゲットシーケンス実施できており、かつ予想以上に患者集団に一般集団より高い頻度でrare variantが見つかっている。

今後の研究の推進方策

現時点ではMM易罹患性寄与の候補に挙げる遺伝子は、転写調節に関与し、一般集団より有意に高い頻度でvariantが検出され、当該variantが予測ソフトによる機能喪失型variantと推定されたものである。数多い候補variantの中から絞り込むため、家族性MM患者の変異情報も参考にするため、それらの解析も並行して進めている。絞り込み後当該遺伝子ノックアウト細胞株をまず作製し、ノックアウトによる機能の変化を解析し、腫瘍化との関連性が認められた遺伝子についてはノックアウトマウスを作製する。本マウスのMM発症の易罹患性を将来検討する予定である。

次年度使用額が生じた理由

購入した特約店の値引きのためわずかに9,097円だけ残額が生じた。

次年度使用額の使用計画

NGS解析はライブラリー調製の他解析毎に15万円前後の高額な消耗試薬を使用するため、高額なランニングコストが必要である。残額の9,097円を含め計画的かつ適切に使用予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2015 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 学会発表 (2件)

  • [国際共同研究] University of Hawaii/Cancer Center(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      University of Hawaii/Cancer Center
  • [国際共同研究] New York University/Langone Medical Center(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      New York University/Langone Medical Center
  • [学会発表] 日本人悪性中皮腫のゲノム解析2015

    • 著者名/発表者名
      玉置(橋本)知子, 吉川 良恵, 佐藤 智佳, 福岡 和也, 辻村 亨, 中野 孝司
    • 学会等名
      日本人類遺伝学会
    • 発表場所
      京王プラザホテル(東京)
    • 年月日
      2015-10-14 – 2015-10-17
  • [学会発表] 悪性中皮腫と腎細胞がんで高頻度に検出されるBAP1及びPBRM1の変異比較2015

    • 著者名/発表者名
      吉川 良恵、江見 充、佐藤 鮎子、大搗 泰一郎、辻村 亨、中野 孝司、玉置(橋本) 知子.
    • 学会等名
      日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場(愛知県、名古屋市)
    • 年月日
      2015-10-08 – 2015-10-10

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公開日: 2017-01-06   更新日: 2022-01-27  

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