各種刺激に応じた管腔臓器粘膜上皮からのATP分泌は、内臓感覚の起点となる現象である。本研究では、膀胱、食道、直腸上皮からのATP分泌を制御するシグナル経路として①PGE2-EP1経路、②NO-cGMP経路、③5-HT受容体経路に着目し、これらシグナル経路の作用が臓器によって異なるかどうかを検討した。その結果、NO-cGMP経路は全ての臓器で粘膜上皮からのATP分泌を抑制することを見出した。次に、細菌性膀胱炎および過敏性腸症候群モデル動物における粘膜上皮からのATP分泌の変化を検討した。これら内臓知覚過敏を呈するモデル動物では、膀胱および直腸上皮からのATP分泌が増大していることを明らかとした。
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