| 研究課題/領域番号 |
26460702
|
|---|
| 研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
|---|
研究代表者 |
井辺 弘樹 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (60326353)
|
|---|
| 研究分担者 |
木村 晃久 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (20225022)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
| キーワード | ストレス / 疼痛学 / 下行性疼痛調節系 |
|---|
| 研究実績の概要 |
１. 慢性ストレス後の痛覚過敏の発現・維持に下行性疼痛調節系からのセロトニン入力が関与していることを明らかにするため、RatTph2 遺伝子断片(もしくはスクランブル配列)を含む short hairpin RNA (shRNA) プラスミドをエレクトロポレーション法を用いてラットの吻側延髄腹内側部（RVM）に遺伝子導入を試みている。効率的な遺伝子導入のためエレクトロポレーターなど新たな装置の手配や大学への申請書類の更新など準備を進めた。
２. コントロール、強制水泳ストレス負荷ラットの足底に CFA を注射し、疼痛反応を測定した。強制水泳ストレス負荷により、CFA 注射による疼痛反応の有意な増強が確認された。さらに、強制水泳ストレス負荷および CFA の注射により、島皮質において、pCREB、delta-FosB、acetyl histone H3 の発現が変化することを見いだした。
３．慢性ストレス負荷後、脳を摘出し、細胞骨格タンパク質（actin capping protein, IKK）、シナプス関連 タンパク質（PSD-95）神経転写調節関連タンパク質（acetyl histone H3）などの Western blot を用い、タンパク量を測定しコントロール群と比較した。慢性ストレス負荷後、吻側延髄腹内側部（RVM）で PSD-95 が減少する傾向が認められた。
これら結果は、関連する学会において報告した。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
強制水泳ストレス負荷後、ラットの足底に CFA を注射することにより生じる炎症性痛覚過敏の増強が認められた。さらに、強制水泳ストレス負荷および CFA の注射により、下行性疼痛調節系の活動をコントロールする島皮質において、pCREB、delta-FosB、acetyl histone H3 の発現が変化することを見いだした。これら結果は、関連する学会において発表し、data を整理し、論文を投稿中である。研究はおおむね順調に進展していると考えている。
|
| 今後の研究の推進方策 |
１．RatTph2 遺伝子断片(もしくはスクランブル配列)を含む short hairpin RNA (shRNA) プラスミドをエレクトロポレーション法を用いてラットの吻側延髄腹内側部（RVM）に遺伝子導入を行う。エレクトロポレーターでの効率的な遺伝子導入の条件の検索する。
２．慢性ストレス負荷後、脳を摘出し、細胞骨格タンパク質（actin capping protein, IKK）、シナプス関連 タンパク質（PSD-95）神経転写調節関連タンパク質（acetyl histone H3）などの Western blot を用い、タンパク量を測定しコントロール群と比較する。有意差が確認されたタンパク質に対しては免疫組織染色を行い、画像上どの領域で変化が著明であるのか、組織学的検討を加える。
3．コントロール、強制水泳ストレス負荷ラットの足底に CFA を注射し、吻側延髄腹内側部（RVM）などの下行性疼痛調節系や大脳皮質などで p-CERB、c-fos、delta-fosB、acetyl histone H3 の発現を免疫組織学的に調査する。そして、それらマーカータンパク質の発現量と behavior の相関を調査する。
|
| 次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に実施予定の実験の一部を行うことが出来なかったため、抗体や実験動物などの購入費用に余りが生じため。
|
| 次年度使用額の使用計画 |
western blot、免疫組織染色等に用いる抗体や実験動物などの購入に使用する予定である。
|
