研究実績の概要 |
1.慢性ストレス後の痛覚過敏の発現・維持に下行性疼痛調節系からのセロトニン入力が関与していることを明らかにするため、Rat Tph2 遺伝子断片(もしくはスクランブル配列)を含む short hairpin RNA (shRNA) プラスミドをエレクトロポレーション法を用いてラットの吻側延髄腹内側部(RVM)に遺伝子導入を試み、遺伝子導入に成功した。 2.慢性ストレス後、下行性疼痛調節系の活動をコントロールする高位中枢の検討から「強制水泳ストレスは CFA 後の機械刺激に対する感覚過敏を増強し、島皮質における CFA による pCREB や delta- FosB の発現およびヒストン H3 のアセチル化を減弱する。」というデータを得た。この結果は、第38回日本疼痛学会、第16回世界疼痛学会において発表し、論文(Imbe et al. Neuroscience. 301:12-25, 2015)として掲載された。 3.「強制水泳ストレスは吻側延髄腹内側部における pCREB や delta- FosB の発現およびヒストン H3 のアセチル化を増加する。」ということを見いだした。この結果は、論文(Imbe et al. Brain Res Bull. 127:11-22, 2016)として掲載された。また、講演の依頼があり、これら研究成果を参考にして下行性疼痛調節系について招待講演(第45回日本脊椎脊髄病学会)を行った。
|