慢性ストレスに暴露することにより人や動物に痛覚過敏(疼痛反応の増強)が生じることが知られている。しかし、そのメカニズムは現在まで明らかにされていない。本研究において、慢性ストレスは炎症性痛覚過敏を増強し、島皮質における炎症による pCREB や ΔFosB の発現およびヒストン H3 のアセチル化を減弱することが確認された。一方、吻側延髄腹内側部では 炎症によるこれら転写因子の発現およびヒストンアセチル化の増加が確認された。これら実験結果より、慢性ストレスによる痛覚過敏に島皮質の活性低下、吻側延髄腹内側部の活性増加が関与することが明らかとなった。
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