研究課題/領域番号 |
26460703
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
天野 託 国際医療福祉大学, 薬学部, 教授 (10294547)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ナトリウムチャネル / 附子末 / 牛車腎気丸 / 電気生理 |
研究実績の概要 |
Nav1.7安定化発現HEK293細胞(ヒト胎児腎細胞)に対する牛車腎気丸と六味丸がナトリウムチャネルを抑制することが昨年までにわかった。本年度は、Nav1.7安定化発現HEK293細胞株を用い、附子末に対する作用を電気生理学的に検討した。 附子末の投与により、Nav1.7チャネルのピーク電流は、control に対して0.03mg/mLの附子末存在下では、Nav1.7電流の減少が見られた 。薬液の濃度を変えて検討を行ったところ、Nav1.7電流の減少は、0.003mg/mL、0.006mg/mLの濃度では抑制が見られなかったが、0.015mg/mLの濃度で22±12%の抑制が見られ 、0.03mg/mLでは43±8%の抑制、0.3mg/mLでは52±17%の抑制 、3mg/mLでは57±10%の抑制 であり、濃度依存的な抑制傾向が確認された。その結果からEC50は0.01751 mg/mLであった。 また、附子末によるNav1.7電位依存性Na+チャネル電流の抑制効果を経時的に観察したところ、 電位依存性ナトリウムチャネル電流の抑制は附子末の処置によって速やかに生じ、また附子末を wash outすることにより消失した。 更に、附子末によるNav1.7チャネルの不活性化に対する影響を検討したところ、0.5mg/mL附子末投与後のNav1.7peak電流では32.6±0.09% の抑制が認められた。 また、controlに比べ、0.5mg/mL附子末存在下では、投与前投与後の-80mVでのpeak電流Imaxとし、それぞれのカレントの抑制割合をプロットしたところ、約10mVの不活性化曲線の過分極側へのシフトが認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Nav1.7安定発現細胞に対する作用は概ね順調であったが、有効成分の抽出に時間がかかっている。今後は有効成分の抽出ができ次第残りの研究を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
附子末に対する作用が明らかとなったので、六味丸に含まれている生薬成分、ジオウ、サンシュユ、サンヤク、タクシャ、ブクリョウ、ボタンピの作用について今後は明らかにしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
牛車腎気丸の有効成分の抽出に時間がかかっており、その成分が抽出されれば研究は遂行される。
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次年度使用額の使用計画 |
牛車腎気丸の生薬からの有効成分が抽出された後、研究を推進して行く。
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