研究課題
神経系には様々なGタンパク質共役型受容体(GPCR)が発現し、神経伝達などに関与している。我々は、グルタミン酸を受容するGPCRである代謝型グルタミン酸受容体1型(mGluR1)および5型(mGluR5)は、脳の海馬や小脳に発現し、記憶・学習の細胞レベルの基礎過程であるシナプス可塑性の誘導に関わっていることがこれまでに解明されており盛んに研究が進められている。一方、脊髄後角に発現するmGluR1やmGluR5は痛みなどの感覚伝達に関わっていることが明らかとなっている。そこで、我々はmGluR1およびmGluR5が他のGPCRと相互作用し痛みの伝達に関わるシナプス伝達の調節している可能性に注目し研究を行った。免疫染色法、免疫共沈法、フェルスター共鳴エネルギー移動(FRET)法、表面プラズモン共鳴(SPR)イメージング、および全反射照明蛍光顕微鏡 (TIRF)イメージング法などかの解析から、mGluR1およびmGluR5はアデノシンA1受容体(A1R)と複合体を形成する事が明らかとなった。さらに、これらのGPCRのシグナル伝達の解析から、A1Rの活性化は、mGluR1のシグナル伝達を抑制し、mGluR1の活性化はA1Rのシグナル伝達を抑制することが明らかとなった。mGluR1およびmGluR5は脊髄後角における痛みの神経伝達に関与し、A1Rは痛みの神経伝達の抑制に関わることから、これらの相互作用が痛みの伝達制御に関わること示唆している。
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