研究課題
後索核のグリア細胞(アストログリア)の活性が足底部への機械刺激に対する逃避行動閾値の低下を引き起こしている可能性を検索するために、後索核の神経障害後のアストログリア細胞マーカーであるGFAP(Glial Fibrillary Acidic Protein)を指標にした免疫組織学的検索、および硬膜内にアストログリアの持つグルタミン産生酵素を阻害するmethionine sulfoximide (MSO)を投与し、投与後の閾値の変化を行動学的(機械刺激に対する逃避閾値の変化)に観察した。坐骨神経障害(CCI; chronic constriction injury model、絞扼性神経損傷)後、対側の後索核と比較して同側の後索核にGFAPに対する免疫反応を持つ細胞の領域が増えていた。これは、CCIによりアストログリアが活性化したと考えられる。さらに、硬膜内へのMSO投与により濃度依存的に機械刺激に対する閾値が上昇した。これは、神経障害により機械閾値に対する閾値の低下にアストログリアの活性化が関与していることが示唆された。しかし、これだけでは、平成26年度、27年度で観察された自発行動の変化を直接説明することはできない。そこで、近年疼痛発現に関与するといわれるHyperpolarization-activated cyclic nucleotide-gated (HCN)チャネル(細胞膜が過分極することで開く非選択的陽イオンチャネル)に着目し、その免疫組織学的検索を現在行っている。今後、イバブラジン(HCNチャネル阻害薬)投与後の自発行動の観察、後索核での自発放電の頻度への影響を調べる予定である。
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Molecular Pain
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10.1177/1744806916641680
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