研究課題
平成28年度は、本研究課題の最終年であるため、これまでの研究成果を結論付けるための実験を行い、学会発表や学術論文への投稿を積極的に行った。末梢局所において、HMGB1は還元状態ではRAGEを介して、一方、酸化状態ではTLR4を介して痛覚過敏を誘起することを実験的に証明し、レドックス状態の違いによって標的分子が異なる可能性を示唆する知見が得られた。また、パクリタキセル誘起神経障害性疼痛にマクロファージ由来HMGB1によるRAGEやCXCR4の活性化が関与することを証明した。これらに関する論文は学術雑誌へのpublishが完了している。次に、セルレイン誘起急性膵炎に伴う膵臓痛に、マクロファージ由来HMGB1によるRAGEとCXCR4の活性化が重要な役割を果たすことを示唆する結果が得られており、これに関する論文も既に学術雑誌に投稿し、現在審査中となっている。また、明確な粘膜病変を伴わない間質性膀胱炎/膀胱痛症候群モデルとして作成したサブスタンスP膀胱内注入により誘起されるマウス膀胱痛にもマクロファージ由来HMGB1によるRAGEとCXCR4が関与するとの知見が得られている。一方、オキサリプラチンにより誘起される急性および慢性神経障害性疼痛にも内因性HMGB1の関与が認められたが、このHMGB1はマクロファージ由来ではなく、シュワン細胞や神経細胞に由来するものである可能性を示唆する知見が得られている。これらの研究はほぼ完了しており、今年中には論文として投稿する予定である。
すべて 2016 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件) 備考 (1件)
Toxocology
巻: 365 ページ: 48-58
10.1016/j.tox.2016.07.016
胆と膵
巻: 37 ページ: 1535-1539
http://www.phar.kindai.ac.jp/byoutai/index.files/byoutai.htm