研究課題/領域番号 |
26460717
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
四月朔日 聖一 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 助手 (30210967)
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研究分担者 |
田代 学 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 教授 (00333477)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | PET / シミュレーション / GATE / 統計学的画像解析 |
研究実績の概要 |
1.シミュレーション環境の構築:本研究おけるシミュレーション作業を行うための専用ワークステーションと周辺機器の購入および設定を行った。ワークステーションにシミュレーションに必要なソフトウェア(Ubuntu OS、GATE、SPM等)のインストールとその環境設定および動作確認を行った。 2.PET装置によるファントム実験:シミュレーションの対象である当施設PET装置(Eminence SET-3000B/X)にてシミュレーションモデルの現実性を確認するためのPET装置基本性能の実データ収集を行った。実データの収集は、NEMA規格 NU 2-2007 のPET性能評価法に基づいた手順により空間分解能、計数損失、散乱フラクション、感度について行った。測定には当施設が有するNEMA規格に準じた感度ファントムと散乱ファントムを用いた。ファントム実験に際し必要な実験器材および消耗品等の購入を行った。 3.PETシミュレーションモデルの構築:シミュレーションソフトエアGATE を用いてPET 装置モデル、撮像するファントムおよび放射線源モデルについて作成を行った。PET装置モデルでは、装置内の検出器配列に加え、散乱線や視野外放射線の影響を反映させるため検出器の周辺構造についてもモデル化した。検出器からの信号処理系のモデル化では実機との調整パラメータとして、エネルギー分解能、時間分解能、不感時間、エネルギーウィンド同時計測ウィンドを設定し設計した。 4.本研究に関する情報の収集:日本核医学技術学会第20回東北地方会(山形)に参加し、核医学画像の撮像方法と再構成条件決定の方法に関した最新の情報を得た。また、第54回日本核医学会学術総会および第34回日本核医学技術学会学術大会に参加し、PETとSPECT画像における統計学的解析に必要な正常データベース構築に関しての注意点や問題点に関しての情報を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
PET装置シミュレーションモデルの作成に際し以下の問題が発生した。当初GATEソフトウェアとしてWindows OSにインストールした仮想UNIXで動作するvGATE ver.7を使用していたが、仮想UNIX のバージョンアップに伴いvGATE ver.7が正常動作しなくなった。そこで、計算速度の向上も見込めることもあり、GATEを動かすOSをWindowsからUNIXのUbuntuへ変更することにした。このため、再インストール作業と仮想UNIXで動作するvGATE ver.7では不用であったGeant4およびGate ver7.0その他関連ソフトウェアのインストール作業が必要となった。Ubuntuインストール作業およびUbuntuでのソフトウェアインストール作業の経験が無かったためシミュレーション環境の再構築に時間を要した。再構築後シミュレーションモデル作成を再開したが、モデルの調整パラメータ設定値の適正化と実行時エラーへの対応に時間を要した。このため、現時点で実データとの比較にまで達していない。また、ファントムによるPET装置実データ収集を行ったが、シミュレーションに必要なロウデータがPET装置の設定によりバックアップを行う前に消去されたため再実験を行ったことも進行の遅れの一因と成った。
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今後の研究の推進方策 |
PET装置のモデル調整パラメータの適性化や実行時エラー等の原因を解明するため、現在GATEに関する他の資料についても収集しているので、GATEマニュアルに加えそれらを活用しながらPET装置のモデル完成をできる限り早い時期に達成する。これと同時に、統計画像解析用の画像データを作成するため撮像対象のGATEモデル化も並行して行う。 また、シミュレーションデータの画像化にはPET装置組込みの再構成ソフトウェアで行う予定であるので、PET装置へのデータ読み込みに関して、装置製造元である島津製作所から画像再構成に関連したソフトウェアの技術情報について収集を行いデータ解析に要する作業効率を高める。 本年6月に再開される予定のサイクロトロン共同利用期間内(共同利用への申し込みは申請済み)に、シミュレーションデータと比較するためPET装置による実データ収集実験を行う予定で、PET装置による実データ収集については早い時期に完了させ研究の遅れを取り戻す。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費における正規料金より廉価な航空チケット購入による計画額との差。 実験計画の遅れにともなうデータ保存等の消耗品購入の減少。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度にあらかじめ計画していた情報収集以外にも情報収集を行うようにしその際の旅費に充てる。また、データ保存等の消耗品購入にも充てる。
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