研究課題/領域番号 |
26460718
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
中井 啓 筑波大学, 医学医療系, 講師 (50436284)
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研究分担者 |
吉田 文代 筑波大学, 医学医療系, 助教 (30261811)
熊田 博明 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (30354913)
松村 明 筑波大学, ・, 副学長 (90241819)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 中性子捕捉療法 / 荷電粒子線放射化分析 / マイクロビーム |
研究実績の概要 |
加速器を用いてホウ素中性子捕捉療法を施行するにあたり、必要なホウ素濃度測定技術の要件について検討している。最終的な目標は、腫瘍細胞内のホウ素濃度が、可能な限り詳細に推測できることである。現時点では、血液中のホウ素濃度は、即発ガンマ線ないし発光プラズマ法で検出することが可能であり、血中濃度から腫瘍濃度を推察する手法である。加速器では、測定可能な照射時間が短時間であるため、血液サンプルの数が減じることが考えられ、より詳細に血液-腫瘍の相関関係を検討する必要がある。日本原子力研究開発機構 高崎研究所において、Micro Proton Induced X-ray EmissionおよびMicro Proton Induced Gamma Ray emission (micro PIXE and PIGE)を用いたマイクロビームを用いたホウ素濃度測定技術の基礎的検討を行った。polycarbonate membrane上に培養細胞を付着させ、ホウ素化合物を付加したのち、凍結乾燥した状態で、切り出した膜を測定専用のホルダーに装着した。リン、カリウム、硫黄などの元素分布を同時測定のPIXEによって二次元画像を取得し、MATLAB上で、細胞内と細胞外をこれらの元素分布を用いて推定し、2次元画像中の、細胞内外のホウ素分布比を算出する手法について検討を行っている。ホウ素によって生じるガンマ線の検出が不十分で、十分なS/N比が得られていない。検体のホウ素濃度を上昇させて再実験を行うこと、また腫瘍組織における細胞、間質での検討を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ホウ素濃度測定が可能であった。また、細胞内外の分布について推察するアルゴリズムを開発し、検証している。今後組織における分布、照射実験との関連を検討してゆく。
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今後の研究の推進方策 |
凍結乾燥による細胞サンプルの調整ははほぼ安定した。今後、定量性、(凍結乾燥)組織切片、液体の測定について検討してゆく。
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次年度使用額が生じた理由 |
細胞の中性子照射実験を京都大学実験原子炉で行う予定であったが、原子炉が稼働せず、実験が不可能であったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度以降、利用可能な中性子ビームがあれば利用する。また海外での実験も検討する。細胞照射実験によって、ホウ素濃度、細胞内ホウ素分布との関連を検討する予定であり、その費用に使用する。
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