前年度までに考案したtractographyの描出能を定量的に評価するシステムに関して、海外学会において報告した。また、前年度までに検討し、改善した撮像条件および1.5T MRIを使用して、ガンマナイフ治療前の脳疾患患者7名におけるQBI(Q-ball imaging)解析によるtractographyと従来法であるDTI(Diffusion tensor imaging)解析によるtractographyを比較した。その結果、運動神経および言語関連神経(弓状束)において優位に神経走行を描出し、解剖学的にも一致している結果を得た。その結果を国内学会で報告した。またQBIによるtractographyをガンマナイフ治療計画装置に導入することで、運動神経および言語関連神経への照射をできるだけ避けたガンマナイフ治療計画の支援を行った。また、3.0T MRIにおいて、同様にガンマナイフ治療前の脳疾患患者10名においても検討も行い、1.5T MRIと同様の結果を得ることができた。 加えてガンマナイフ患者のみではなく、脳腫瘍などによる脳外科手術術前患者においてもQBI解析によるtractographyを適応し、運動神経および弓状束だけではなく、frontal aslant tract(流暢に会話することに関連する交連線維)を描出を検討した。全症例で抽出対象線維を描出することが可能であることがわかった。また、その結果を手術ナビゲーションシステムに導入し、脳外科手術における支援を行った。 前年度までに最適化したfMRIを併用することによって、特定の脳機能(運動神経である錐体路のうち手の把握運動)に特化した神経のみを抽出することが可能となった。本手法を用いることで、客観性を保ったまま脳神経を分離して描出することが可能となった。
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