研究課題/領域番号 |
26460723
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
泉川 卓司 新潟大学, 研究推進機構, 准教授 (60282985)
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研究分担者 |
川崎 健夫 北里大学, 理学部, 教授 (00323999)
後藤 淳 新潟大学, 研究推進機構, 助教 (90370395)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 陽子線写真 / 画像診断 / シリコンストリップ検出器 |
研究実績の概要 |
本研究では陽子線による断層写真の撮像原理の検証と分解能向上のための撮像技術と画像解析技術の向上を目的としている。しかしながら、以前に開発した測定システムは計数率が数百cpsと非常に低いため、効率的な実験遂行のために測定システムの高速化が急務となっている。 カロリーメーターについては、高計数下では光電子増倍管の電圧降下によりエネルギー分解能が大幅に低下する事が昨年度の実験で判明したため、今年度は光電子増倍管のブリーダー回路の最適化を図り、加速器を用い粒子線のエネルギー分解能の測定実験を行った。一定の改善は見られたが、まだ最適化が不十分で予想していたほどの改善は見られなかった。今後更に最適化を進める予定である。また、ADコンバーターも高速化に対応する必要があるため、高速DSPを用いた信号処理系を導入し更なる高速化に備えた。SSDについては、従来のものはオフラインでは動作する物が、各種の電子機器が大量に動作している加速器施設ではノイズの影響を大きく受けて回路が発振し、上手く動作しないという問題がある。そのため、複雑さを避けるためにストリップ数をこれまでよりも減らし、ノイズ対策を施しやすい読み出し回路の開発を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
高速化システムの開発が難航しているため、実験計画に遅れが生じている。前述したようにカロリーメーターにおいてはブリーダー回路の最適化、SSDにおいてはノイズ対策に時間を要している状況である。
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今後の研究の推進方策 |
装置の高速化がネックとなっている。特にノイズが問題となっているが、加速器施設のノイズは予想することが難しく、これに対応するために、ストリップ数を減らすなどシステムの単純化を図り、ノイズ対策を容易にする予定である。エネルギー分解能についてはオフラインでの測定環境を整備し、ブリーダー回路の最適化を図る。これらの対策を施した後、SSDも含めて加速器を用いた撮像実験を実施し、撮像条件の最適化の研究を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
装置の修正・改造のためには装置の基本性能を実際の測定で得る必要があるが、加速器実験は年1~2回程度しか機会がないため、その基礎データを十分に得ることができなかったため装置開発が遅れたことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
これまでに得られたデータをもとして装置の改造を行うが、この費用に充てる。また、当初の予定通り撮像試料の作成費用と撮像実験実施のための旅費としても使用する予定である。
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