研究課題/領域番号 |
26460724
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
武村 哲浩 金沢大学, 保健学系, 准教授 (70313674)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 変形レジストレーション / Local Uncertainty / Dose Accumulation / Radiotherapy |
研究実績の概要 |
放射線治療のコースにおいて複数回放射線治療計画を変更する適応放射線治療では,変形レジストレーションを用いて時期の異なる複数の線量分布を合算する. その線量積算では変形レジストレーションの精度が重要であり,変形レジストレーションの結果を評価する必要がある. 我々は変形レジストレーションの体積的な評価を行うとともに,局所的な評価を行う部分的精度・信頼性を開発した. 平成26年度には, 変形レジストレーションの体積的な評価として国内学会で研究成果の発表をおこなった(研究発表1,2). 研究発表2の結果では,臨床で撮影されたコーンビームCTと通常のCTをもちいて変形レジストレーションを行ったが,十分な精度があるとは言えない結果となった. そのため,デジタルファントムを作成し, 改めて変形レジストレーションの体積的な評価を行った. 結果では体積の95%以上が一致する結果を得たものの, 変形しない部分への影響も確認できた. 変形レジストレーションソフトの精度評価と同時に部分的精度・信頼性を計算するソフトウェアの開発を行い,症例データを用いて試行した.その結果について国際学会にてその成果を発表し,論文として発表した(雑誌論文1). この結果では,部分的精度・信頼性の計算アルゴリズムを提案し, 実際に変形のあるCT画像同士を変形レジストレーションした出力結果を元に計算した部分的精度・信頼性を示した. 部分的精度・信頼性の値は変形が有る部位では高く, 骨など変形しない部位ではほぼゼロとなることが示せた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画で実施するとした, ソフトウェアの開発は順調に進み, そのソフトを用いての評価が行え,さらに国際学会においてその成果について発表することができた. 研究計画で実施予定の2つ目のゲル線量計による実験は, 昨年度3Dゲル線量計研究会への参加などにより,ゲル線量計の現状や特性を調査した. また,ゲル線量計を用いた実験は現在準備中である.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き部分的精度・信頼性ソフトウェアを用いて,計算パラメータ調整のための検討およびその特性の評価を行う. 具体的には, 計算パラメータとして臓器の辺縁を捉えるために画像上のCT値の変化を捉えているが, そのCT値の変化量として適切な値を求める. また, 1つの部分的精度・信頼性の値は, 現時点では各画素を中心とする立体18方向にCT値の変化量を超える画素を探すが, その適当な方向数を検討する. 特性としては,適用する人体の部位により部分的精度・信頼性の一般的な値がどの程度を把握すること,および部分的精度・信頼性に影響する因子を検討する. ゲル線量計を用いた実験では, まず作成したゲル線量計の安定性の確認, および酸素に触れることで感度が下がるため, 使用する実験容器での感度分布測定を行う. その後, ゲル線量計を用いて部分的精度・信頼性の妥当性を評価する. ゲル線量計による積算線量と市販されている線量積算が可能なコンピュータ・システムを用い積算線量を計算し,そのゲル線量計にる積算線量とコンピュータシステムによる積算線量の差と部分的精度・信頼性の計算結果を比較する.
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次年度使用額が生じた理由 |
予算執行実施に伴い若干の残額が出た. 実験実施に必要な薬品を全て購入するには残金が足らず, また年度末で購入品の納入が3月中に行えるか不安があったため繰り越すこととした.
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次年度使用額の使用計画 |
わずか3万円程度であるので, 次年度のゲル線量計用容器および薬品を購入する経費の一部として使用する予定である.
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