研究実績の概要 |
本研究課題は,放射線治療の現場で現在精度評価ができない変形レジストレーションを用いた放射線線量積算に対して,変形レジストレーションの精度指標を提供することで,線量積算の有用性を享受でき, 個別化医療を促すことを狙っている. 研究初年度に於いて開発した, 変形レジストレーションを用いた線量積算に対する新たな評価指標であるLocal Uncertaintyを計算するソフトを,ゲル線量計を用いて評価するために適切なゲル線量計を開発した. 変形させるために適度な柔らかさと, ゲル線量計が酸素で感度低下をきたすため十分な酸素遮断が出来る構造をもったものとした.ゲルの硬さの検討ではゼラチンの種類やその他の増粘剤(カラギーナン)を添加することである程度の高温に耐えれるゲルを作成した. 酸素遮断では, ゴム製チューブにゲル線量計を封入し, グリセリンに沈めることで酸素遮断ができ, ゲル全体が有感領域となるゲル線量計を作成できた. そのゲルを用いてLocal Uncertainty計算ソフトの評価を現在計画中である. 線量積算を放射線治療の現場で使用するための変形レジストレーション手法の特性評価では, 初年度に作成したデジタルファントムを更に刷新しそれを用いて評価した. その結果, 画像ノイズや体内金属マーカーの有無による影響は無く,2画像間の形態の違い, 変形度合いの大きさに変形レジストレーションの精度が大きく影響されることを示した. これらの成果は海外学会で発表し評価を得た. また, 現在論文執筆中および投稿中である.
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