研究課題/領域番号 |
26460726
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
真田 茂 金沢大学, 保健学系, 教授 (50020029)
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研究分担者 |
田中 利恵 金沢大学, 保健学系, 助教 (40361985)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 手関節 / 動態機能 / X線画像 / ナビゲーション |
研究実績の概要 |
被検者自身による撮像ポジショニングも可能にする,コンピュータ支援による四肢関節系の動態機能X線画像検査のナビゲーション法を開発している.すなわち,コンピュータのリアルタイム画像解析によって,被検者による撮影部位(関節)の適切な位置合わせと運動を誘導しながら撮像する方法を開発中である.昨年度は,手関節の動態機能検査法におけるポジショニングとX線プロジェクションの再現性向上について検討し,撮影補助具などを開発した. 本年度は,被検者の掌背屈運動を撮影するためのWebカメラと,画像処理を行うためのノート型パーソナルコンピュータ,処理結果を被検者に対して表示するためのブッキーテーブル上に設置されたモニタから構成されるシステムを試作した.被検者はモニタ上に表示される予め作成した誘導画像と,リアルタイムに合成表示される自身の運動画像が重なるよう掌背屈運動を行った.健常者を対象に,被検者ごとに右手関節の掌背屈運動をナビケーションシステムの有/無で,それぞれ6回ずつ光学撮影した.橈骨と第二中手骨のなす角を屈曲角度として定義し,最大掌屈角度から最大背屈角度までの角度変化を計測して比較した.その結果,ナビゲーションの有/無で,屈曲運動の速度には差がない傾向を示した.分散の時間変化を比較すると,双方ともに運動開始から徐々に増加し,運動中盤で最大を迎え,運動終了が近づくにつれ減少する傾向を示し,ナビゲーション有の方が,分散の増加は抑えられていた.本年度,試作したナビゲーションシステムは,手関節掌背屈運動の再現性向上に対して有望であった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度報告の(今後の推進方策)で記した, (1)撮像ナビゲーションシステムの改良についても,(2)健常者を対象とした撮像ナビゲーションの精度検証についても,国際会議で発表し,高く評価されるような成果を得た. 現時点で唯一の懸念事項は,医療機器メーカと共同で開発している専用のX線動態機能検査装置の導入が遅れていることである.そのため,既存のX線透視装置を流用しての研究方法を準備中である.
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今後の研究の推進方策 |
本年度は,粗試作段階の各パーツの改良と,X線検査の中でもポジショニングとX線プロジェクションの難しい頭部撮影の検討にも着手する.本課題で開発するシステムは,基本的に画像によるナビゲーションシステムではあるものの,ロボティクスの応用を包含させることを検討する.これは,セルフイメージングの精度をさらに向上させる可能性があると考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
計画では,試作X線動態検査装置に即した撮像補助具を作成する予定であったが,試作X線動態検査装置の導入が遅れているために,その撮影補助具の作成を見送り,当該助成金使用額を次年度に繰り越した.
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次年度使用額の使用計画 |
上記の撮影補助具について,H28年度の早期に既存のX線透視装置に即したものを作成する.もし,試作X線動態検査装置が年度内に導入されれば,それへの応用についても検討する.
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