本課題は,被検者自身による撮像ポジショニングも可能にする,コンピュータ支援による骨格系の動態機能X線画像検査のナビゲーション法を開発するものである.筆者(真田)らは既に骨,関節,筋肉の形態および動態情報による運動機能の簡便な評価法の開発研究を進めてきた.本課題では,さらにコンピュータのリアルタイム画像解析によって,被検者による撮影部位(関節)の適切な位置合わせと運動を誘導しながら撮像する方法を開発する.すなわち,一般初期X線画像検査において,極めて簡便に精度よく骨格系の運動機能を診断できるコンピュータ支援による撮像ナビゲーションシステムの開発を目的とする. 昨年度までは,筆者らが最も開発を進めてきたX線動画像撮影法である手関節を対象として目標とする成果を上げることができた.今年度(最終年度)は,解剖学的構造が複雑なために,X線プロジェクションと被検者ポジショニングの厳密な頭部撮影のナビゲーションシステムの開発に着手した.まずは頭部基準面の認識,X線管と受像媒体(フラットパネルX線ディタクタ)の位置の特定をコンピュータで自動的に行う方法を検討した.試作システムは,被検者の頭部正面X線像撮影における幾何学的状況を把握するためのWebカメラと,画像処理・解析を行うためのノート型パーソナルコンピュータで構成した. この試作システムを用いて,頭部基準点(内・外眼角,眼科下縁,外耳孔中心・上縁)を自動的に検出する精度は±5mm以内と良好であった.さらに.X線管と受像媒体の位置を特定して,被験者の最適なポジショニングをナビゲートするシステムの開発研究を補完して行う予定である.
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