本研究の目的は、非磁性リードを埋めこんだ患者のMRI検査時におけるRF発熱評価と電磁界解析によるシミュレーションの可能性を検討することであった。非磁性リードの入手に手間取り、当初の予定溶より実験が遅れたが、データは撮り終えまとめの段階に入っている。MRI装置を使用した人体等価ファントム実験では、実際の体内のインプラント配置を想定し、購入した蛍光式光ファイバー温度計で、実測値を記録した。撮像条件やリード線の配置によって発熱変化は大きく異なり、デバイスメーカーの推奨条件下では発熱は起こらなかったが、最悪条件下ではリード先端部で8℃以上の発熱を認めた。この結果から、どのような条件で発熱が起こるかリスク評価が可能となると思われる。この結果は第45回日本磁気共鳴医学会で発表する。一方、発熱シミュレーションについては、現在も購入した電磁界解析ソフトウェア(SEMCAD-X MED)で解析中であるが、実測データとの比較をまとめ、第45回日本放射線技術学会秋季大会で発表を行う予定である。研究期間内に各地(茨城県、宮城県、長野県、山形県、千葉県、広島県)に直接出向き講演を行った。その際に臨床現場での問題点を聞き、MRI検査時における体内インプラントのRF発熱が問題となるケースを想定する事ができた。更に、研究期間で調査した現場の意見を参考にして、実際の人体を想定したインプラント配置とMRI検査時の発熱シミュレーションについて検討する予定である。今回の発表と同時に、結果がまとまった内容から順次、論文の執筆をする予定である。
|