研究課題
2017年度は、これまで停止していた近畿大学原子力研究所の教育用原子炉(UTR-KINKI)が稼働したのでゲル線量計の熱中性子に対する基礎的応答特性実験をようやく行うことが出来た。ゲル線量計としては、これまでにガンマ線により基礎特性を検討してきた放射線応答感度の高いMAGATポリマーゲル線量計を主として採用した。基準となる増感剤無添加のMAGATゲル線量計に加えて、これに熱中性子増感剤として熱中性子捕捉断面積の大きい6Liや10Bを含む、硫酸リチウム塩Li2SO4(6Li(7%)含有:天然)、濃縮6Li(96%)を含む硫酸リチウム塩、およびホウ酸B(OH)3(10B(20%)含有:天然)を添加したMAGATも併せて作製した。これを7mL石英試験管に封入した後、UTR-KINKIの炉心にて0.5-4時間の照射を行った。得られた結果から、濃縮リチウム塩では5mM、天然ホウ酸では25mMの添加で熱中性子捕捉による効果を確認できることが分かった。しかし、予測通りLET依存性が見られた。これらの結果はシミュレーションによる結果と良く一致しており、LET効果を考慮した線量補正ができればBNCTにおける熱・熱外中性子線の吸収線量評価が出来る可能性が示唆された。これらの結果は、第14回日本中性子捕捉療法学会学術大会(9/29-30, 郡山)およびThe 9th Young Researchers BNCT Meeting (9YBNCT) (11/13-15, Kyoto) にて報告された。また、2017年度秋に再稼働した京都大学原子炉実験所の研究用原子炉(KURR)による実験も一度だけ行うことが出来た。前述と同様の試料を水槽中で照射することにより深部線量分布の基礎データを取得した。この結果の解析とシミュレーションは現在進行中である。
3次元ゲル線量計研究会関連情報含む
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すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 8件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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