研究課題/領域番号 |
26460738
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
中村 剛実 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 研究炉加速器管理部, 係長 (90414549)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | BNCT / 加速器 / 熱外中性子 / ボナーボール / 中性子検出器 |
研究実績の概要 |
加速器BNCT照射場の1keV付近の熱外中性子スペクトルを最も効率良く測定できるボナーボール型中性子検出器の開発に関し、He-3検出器を対象としたボナーボール用フッ素含有減速球の設計及び製作を行った。応答関数解析より、種々の材質及び減速球直径について評価を行った。この結果より、材質はLiF粉末入りポリエチレンとLiF粉末入りテフロンの2種類を選定した。LiF粉末入りテフロン減速球の応答関数特性は、応答関数のピーク部をシャープにすることができるが、減速球直径が大きくなるという欠点が見られた。一方、LiF粉末入りポリエチレン減速球の応答関数特性は、応答関数のピーク部は滑らかとなるが、減速球直径を小さくすることができる利点が見られた。このため、LiF粉末入りポリエチレン減速球を対象として、加速器BNCT場でのアンフォールディングで必要となる最適な応答関数を計算解析により決定した。その中の2個の減速球(直径12.08cm及び15.08cm)については、実際に製作を行った。次年度以降、JAEAのFRS施設、加速器BNCT施設で検証実験を行う予定である。 患者被ばく線量最適化のための測定技術として、H26年度は光ファイバー型リアルタイム中性子モニタの開発を行った。これまでに報告されている中性子モニタは、照射に起因する光ファイバーの劣化・損傷により感度が低下することが報告されているため、光ファイバーは、耐放射性として知られている石英光ファイバーを採用した。一方、シンチレータについては、放射線による劣化・損傷に強いEu:LiCAFシンチレータを採用した。これらを組み合わせて、石英型中性子モニタを製作した。更に、プラスチック型中性子モニタも製作し、光ファイバーの劣化・損傷に係るデータを次年度の実験で取得する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H26年度はボナーボール用フッ素含有減速球の設計が順調に進み、計画通り減速球を製作した。患者被ばく線量最適化のための測定技術で使用する光ファイバー型リアルタイム中性子モニタについて、耐放射線の仕様を持たせた中性子モニタを計画通り製作することができた。施設の都合により、本年度は実験を行うことが出来なかったが、本研究の課題は順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に製作したボナーボール用フッ素含有減速球に対し、JAEAのFRS施設及び筑波大学の加速器BNCT装置で特性測定実験を行い、計算解析結果との妥当性検証を行い、測定法の確立を行う。製作した光ファイバー型リアルタイム中性子モニタに対しては、京大KURが再稼働すれば、照射実験を行い、光ファイバーの劣化・損傷に係るデータを取得する。また、筑波大学の加速器BNCT装置の中性子ビーム場で、製作した中性子モニタをファントム表面に設置して中性子ビームをリアルタイム測定し、放射化法による測定結果との比較から本中性子モニタの適用性を検証する。更に、製作したボナーボール用フッ素含有減速球と本中性子モニタを組み合わせて、筑波大学の加速器BNCT装置で特性測定実験を行い、その妥当性を実験的に検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
製作した中性子モニタは、京大の研究用原子炉KURで照射実験を行う予定であったが、施設の都合により共同利用実験が中止となったため、当該助成金を旅費及び実験装置輸送費として使用できなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
研究用原子炉KURで照射実験を行うため、旅費及び実験装置輸送費として使用する。また、実験に必要な消耗品等の購入も行う。
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