研究実績の概要 |
最終年度の研究として,主に「最適照射量の決定」について述べる. ガフクロミックEBT2における均一性向上の方法としてX線の二重曝射法がある.一般の診断用X線装置ではヒール効果により均一に照射できないため,X線の代わりに紫外線を照射する研究である.前処置としての紫外線照射量について検討した. 波長375 nm の紫外線Aを用い,種々の照射時間にてガフクロミックEBT2に照射し,その時のガフクロミックEBT2の濃度変化から適正な照射時間について検討した.ガフクロミックEBT2の濃度変化を精度良くとらえるために,紫外線Aの前照射を行った.①前照射の条件は紫外線蛍光ランプを用い,距離72 cmで30分の時間照射した.②次に波長375 nmの紫外線を発生するlight-emitting diode (LED)を用い,距離7.5 cmにおいてガフクロミックEBT2に対して1, 2, 3, 4, 5, 10, 15, 20, 25, および 30分の照射を行った.紫外線Aを照射したガフクロミックEBT2の濃度変化の画像解析から最適照射時間を求めた.画像解析ではImageJを用い,0.5インチの円形の計測部位を設定し,その内部の濃度(ピクセル値)ヒストグラムを求めた.②で求めた画像と①求めた画像を差分することにより,真の紫外線照射時間を求めた. 最適な紫外線照射時間を求めるための条件として,第一に画像を差分するので0の値が最頻値ではないこと,および最頻値の1/10値がヒストグラムの両袖と交差することとした.ガフクロミックEBT2の場合,2分の照射で170.86 mJ/cm2が照射され,その平均ピクセル値およびスタンダードデビエーションは573.47 ± 251.43となった.最小ピクセル値は0であったが,その頻度は小さかった.最頻値の1/10値は4.2でヒストグラムの両袖と交差していた.
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