本研究は日本社会の特徴のひとつであり人々の家庭生活や仕事に様々な影響を与えといえる性別役割分業規範が人々の健康にどのような影響があるのかを検証することを目的として実施した。 その結果、配偶者の喪失、家族形態、雇用形態、介護の有無など、家庭や仕事に関する様々な要因の健康影響が男女で異なりその背景に性別役割分業規範があることを把握した。加えて、その健康影響は社会経済状況によって異なることも改めて把握した。本研究により、性別役割分業規範が人の健康に間接的影響を与えていることが認められたことは、今後の公衆衛生対策において社会的性差(ジェンダー)に留意したアプローチが有用であることを示唆したといえる。
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