原爆による被爆は一般的に,原爆炸裂時に放出されたガンマ線や中性子線などの初期放射線による直接被爆と,その後の放射化された物質による誘導放射線や放射性降下物質などの残留放射線による間接被ばくとに分けて考えられている.本研究において,初期被ばく線量は,ほとんど無視できるほど小さいとされてきた遠距離被爆者や入市者についても,原爆投下直後から死亡危険度の上昇が認められ,残留放射線による健康被害が示唆されるという結果を得た.被ばく線量が低くても,被ばく状況によっては,健康影響があるということに注目しなければならない.例えば放射性物資を含んだ粉塵を吸い込むなどした場合の健康影響を再検討する必要がある.
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