研究課題/領域番号 |
26460749
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
近藤 久義 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 助教 (00170431)
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研究分担者 |
三根 眞理子 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 客員教授 (00108292)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 空間疫学 / GIS / 癌罹患率 |
研究実績の概要 |
長崎県内の癌罹患と包括的地理要因に関するより詳細な空間疫学的分析を行うため、小地域の単位を3,480の町丁・字から411,424の100mメッシュに変更するために、今年度は、以下の作業を実施した。 ①罹患率算出の基礎となるメッシュ内の人口データとして、平成22年国勢調査全指標(100mメッシュ)から30歳以上の男女別総人口を求めた ②メッシュ内の医療環境データとして、全業種店舗統計データ・メッシュから、総合病院と内科および外科、循環器、眼科、皮膚科、整形外科の各医院と診療所、歯科医院、薬局の総数を求めた ③メッシュ内の生活環境データとして、スーパーマーケットと魚屋、肉屋、八百屋、酒屋、コンビニエンスストア、公園、公民館、集会所、銀行の総数を求めるとともに、H26年度に入手したゴミ焼却施設と産業廃棄物処理場を100mメッシュ地図上にジオコーディングし、メッシュ内の各施設の総数を求めた。また、Spatial Analystの「ゾーン統計ツール」を利用して、数値標高モデル(DEM)に基づく長崎県内の標高データから各メッシュ内の平均標高を求めた ④長崎県内23箇所の大気観測局と20箇所の気象観測地点のデータに基づき、大気汚染物質として、二酸化窒素と二酸化硫黄、オキシダント、浮遊粒子状物質の年間平均値および気象条件として、年間平均気温と年間降水量、年間平均風速、年間日照時間に関する分布サーフェスをGISのSpatial Analystの内挿機能を利用して作成した ⑤癌罹患の観察期間を2005~2011年に変更し、長崎県がん登録委員会から66,547例の罹患データの提供を受け、①で購入した100mメッシュ地図上にプロット(ジオコーディング)した。 これらの作業を実施したことにより、100mメッシュを解析単位とする空間疫学的分析が可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、前年度までに得られた長崎県内の町丁・字別の解析結果に基づいて、小地域地理要因と癌罹患率との関連を評価する予定であったが、町丁・字を地理的要因の解析単位とすると広範過ぎると考えられる。そこで、地理要因の解析単位を100mメッシュにすることにより、この問題を解決しようと考え、必要な情報について市場調査を実施後、購入した。この段階(特に市場調査)で多くの時間を要したため、本格的な解析と解析結果に対する考察が遅れたため。
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今後の研究の推進方策 |
解析の基礎となる小地域の単位の変更に伴う地理的要因の入手とH26年度に未完成であった、大気および気象に関する測定値の分布(サーフェス)の作成、観察期間の変更による新たな癌罹患例の入手とジオコーディングを行ったことにより、100mメッシュを解析単位とする空間疫学的分析を実施するための環境が整備されたので、癌罹患の小地域集積性と包括的地理的要因に関する分析を早々に実施し、解析結果について、専門家より知識の提供を受け、研究成果をまとめる。 研究成果に関しては、英文論文としての投稿と日本疫学会における発表を行うとともに、指定された様式に従い、成果報告書を作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
地理要因の解析単位の町丁・字から100mメッシュへの変更作業に伴う研究の遅れにより、当初予定していた人件費・謝金の支出がなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度、新たに入手した癌罹患例のジオコーディングでは、4,096件の変換不能例があったが、その大部分は調査を行うことにより、変換が可能であると思われる。次年度は、この作業を行うために当初予定より多く研究補助者を雇い入れ、謝金として支出する。
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