研究課題
放射線被ばくによる健康被害への影響は被曝線量に基づき評価されている.原爆被爆者における被曝線量は,実測ではなく被爆状況から算出した初期線量のみの推定線量である.そのため,初期線量以外の2次的な放射線被曝(残留放射線等)のリスク評価は十分に行われていないのが現状である.本研究では,被爆時所在地を位置情報として活用することで,位置毎に定量的なリスク評価を行い,リスクの地域差を表すリスク地図を作成する.更に,リスク地図に被爆後経過年数や年齢等の時間要因を組み込むことで,時間変化するリスク地図を作成する.これにより,原爆被爆者におけるがん等の疾病に関するリスクは,時間により変化するリスク地図のアニメーションとして視覚化され,2次的な放射線被曝のリスク評価への活用し,被ばく影響の分析を勧めている.まず、2次的な放射線被ばく影響のリスク評価のために、がん超過相対死亡危険度の空間変化と時間変化をモデリングするためのデータ分析法の理論開発を行った.これらの分析法を組み合わせることで、時空間変化のモデリングに関する理論整備を勧めた.ABSコホートデータ分析のために、開発したデータ分析法を実装した解析プログラムの開発を行った.プログラム開発にはRなどを用いた.合わせて、ABSコホートデータの整備も進め、分析に必要となる位置情報などをデータベースから抽出し、解析データを作成した.開発した理論を適用してABSコホートデータを分析した結果、爆心地から西地域および南の海岸線付近において、初期線量の影響では説明できないがん超過相対死亡危険度が認められた.これは,黒い雨などの放射性降下物の影響を示唆する研究成果である.
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 9件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 9件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 4件)
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