研究課題/領域番号 |
26460755
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
寺澤 晃彦 藤田保健衛生大学, 医学部, 准教授 (30399597)
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研究分担者 |
濱島 ちさと 国立研究開発法人国立がん研究センター, 社会と健康研究センター, 室長 (30286447)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 臨床エビデンス統合 / メタ解析 / ベイズモデル / がん予防 / がん検診 / 検査・スクリーニング精度 |
研究実績の概要 |
近年開発された発展的なメタ解析法を使用し、がん検診ガイドラインを支持するエビデンスレポート作成のための発展解析を中心に臨床応用した。従来のがん予防のメタ解析では主要評価項目以外の競合イベント(他疾患による死亡、研究からの脱落)により生じるイベント欠失が、時間生存解析として適切に考慮されていない。最近報告された競合イベントに対応するベイズ階層モデルを使用して胃がん発症予防のランダム化比較研究のメタ解析を実施した(投稿中)。また、従来のイベント発症のメタ解析は正規分布に変換概算後通常法を行うが、近年二項混合効果モデルによる離散尤度法が開発された。本邦から報告されている子宮頸がん検診(擦過細胞診)の不適正検体の頻度について本法を応用した(投稿中)。また、検診戦略のランダム化比較研究では、全対象者に参照基準が適応されず、個々の検査のスクリーニング精度については相対的な評価しか推定できない。相対指標についてはHPV検査と擦過細胞診の子宮頸がん発症の減少を主要アウトカムとしてネットワークメタアナリシスを実施した(論文執筆中)。また、個々のスクリーニング検査の診断能に対しては、統計学的補正とベイズ階層二変数モデルを応用し、HPV検査と擦過細胞診の真の個別検査能と相対的検査能を評価した(論文執筆中)。また、検査精度研究については臨床的な観点から完璧な参照基準が適応されないまま診断が確定している状況が多く、これに対応するベイズモデルの応用が進んでいる。アルツハイマー病とレビー小体型認知症の鑑別診断をする核医学検査の診断精度について近年開発されたモデルを応用した(論文執筆中)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新規研究法のデーターベース化は随時更新中である。これら最新のデータ統合法の応用例は研究実績の概要で記述の通り複数のプロジェクトを並行して実施しているため、英文論文受理をゴールとする進捗としては遅れている。また一部の完了した研究企画については投稿雑誌から不採択が継続しており、従来想定していた研究法と比し、より複雑なモデル応用等の推奨があり、この再解析にあたり予想以上の時間を要している。また、当該のモデル応用には海外研究協力者のサポートが必須であったが、複数の協力者の異動やサバティカル取得が重複し先方のスケジュールも遅延に影響している。
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今後の研究の推進方策 |
現在投稿中および執筆中の論文については引き続き改訂・受理を目指す。新規研究法のデーターベース化については平成29年度中に公表を予定する。さらに、本研究で収集した情報と応用実績をもとに、臨床ガイドライン策定のためエビデンスレビュー実施法の改訂作業を予定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究補助員の欠員があり人件費が予定通り計上されなかったこと、情報収集および共同研究目的の海外出張が一部中止になったことが理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度新たに研究補助員を雇用し、前年度中止となった海外出張を計画する。また結果公表・論文作成のための費用として計上する。
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