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2015 年度 実施状況報告書

ニコチン代謝能とストレス反応因子及びその他の生活習慣が離脱症状に及ぼす影響の研究

研究課題

研究課題/領域番号 26460758
研究機関神奈川県立保健福祉大学

研究代表者

大庭 志野  神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 准教授 (70397321)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードニコチン依存 / ニコチン代謝能 / 離脱症状
研究実績の概要

昨年度に引き続きデータ収集を行い、収集データの保存、管理、電子化を行った。データクリーニングを行った。収集された早朝尿及び随時尿の検体からコチニン値とtrans-3’-hydroxycotinineの値を測定した。それぞれの比を取り、ニコチン代謝能を定義した。コルチゾール及びカテコールアミンを測定して、ストレス反応の指標とした。また、TDSスコアをもちいてニコチン依存度を確認した。
収集済みのデータを用いて、暫定的な解析を行った。喫煙への依存度を示すTDSスコア(0-10)は男性平均7.7、女性平均8.3であり、男女ともに依存度が高い事が示唆された。ニコチン代謝能はコチニン値とtrans-3’-hydroxycotinineの比をとって求めた。平均値は男性1.8、女性1.2であり、男性の代謝能がやや高いことが示唆された。アルコール摂取量と有意な正の相関があることが示唆された。また、BMIとは負の相関が、身体活動量とは正の相関がそれぞれ有意では無いが示唆された。睡眠の質はピッツバーグ睡眠質問票日本版を用いて調べ、ニコチン代謝能と睡眠効率の悪化に正の関連が観察された。すなわち、ニコチン代謝能の高い人に睡眠効率の低下が示唆された。
睡眠の質の低下は禁煙に伴う離脱症状の一つとして報告されている。またアルコール摂取量が禁煙により一時的に増加することも考えられる。本研究では禁煙治療をもとめて受診する人で禁煙の離脱症状と同様の要因を持っている人に、高いニコチン代謝能力を持つ人がある事が示唆された。高いニコチン代謝能力を持つ人が禁煙前からこのような症状を持つことで、その後の禁煙治療に影響を及ぼす可能性も考えられる。そのため、本研究で得られた知見は禁煙を志す人や禁煙治療に携わる医療関係者に有用な情報となり得る。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

データの収集はほぼ終了しているが、未だ継続中の症例についてはその状況を確認する。本研究のデータ収集の全体の状況を確認し、不具合がある場合にはそれを記述して修正する。収集された検体の測定状況について確認する。質問票のデータを整理する。電子化されたデータの入力のエラーや突合の不具合、つじつまの合わない箇所等を確認する。さらに、分析を開始するために、本研究の目的となる指標を確認して作成する。
収集されたデータをまとめ、学術的な信頼のおける統計ソフトを用いて解析を行う。暫定的に行った解析結果に最終的なデータを加え、より包括的な検討を行う。本研究は特に治療開始時のストレスの指標や、離脱症状にみられる要因と喫煙に関わる指標との関連を詳細に調べることを目的とするため、層別解析や相互作用因子をモデルに入れる等の方法で交絡因子を慎重に調整して検討する。
研究の結果をまとめて、既存研究と照らし合わせて解釈及び考察を行う。今後はコチニン代謝能とストレス反応の指標との関連を検討する。また離脱症状の中で未だ詳細な解析を行っていない要因について検討する。結果は研究協力者と随時内容の精査を行う。関連する専門家の集まりや、学術総会において、研究結果を発表するための準備を行う。研究結果を公表し、得られた助言等を参考に更に解析を行い、検討を加える。研究の内容について、著作件に抵触しない範囲でホームページを作成し、研究に協力して下さった方に加え、広く一般にも公表する。研究結果を論文にまとめて学術誌に投稿する。

今後の研究の推進方策

本研究のデータの収集はほぼ終了した。ご協力して下さった方には謝礼等送付済みである。各対象者に書類や収集データの不備等がないか確認した。調整が必要な案件については担当の研究協力者と調整している。
ニコチン及びコチニン濃度の指標の測定は一通り行ったが、一部測定が終了していない検体がある。質問票で収集されたデータのデータベース化を行っている。データベースの品質管理は未だ充分に行われておらず、引き続き調整が必要である。
現在までに収集されたデータを用いて暫定的な分析を一部開始した。得られた結果より新たな方面について文献検索を進める必要が生じた。また、今後は最終的なデータを用いた包括的な解析を行い、研究結果の考察を行う必要がある。

次年度使用額が生じた理由

収集検体の測定が遅れている。中間データを用いた予備解析の結果をまとめて報告することを計画していたが、予期せぬ結果が得られたため、新たな方面での文献検索を要する。

次年度使用額の使用計画

測定されていない検体を業者にまとめて依頼する。執筆中の論文を仕上げて、公表する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件)

  • [雑誌論文] Factors associated with irregular breakfast consumption among high school students in a Japanese community.2016

    • 著者名/発表者名
      Oba S, Oogushi K, Ogata H, Nakai H.
    • 雑誌名

      Asia Pac J Clin Nutr.

      巻: 25 ページ: 165-73

    • DOI

      10.6133/apjcn.2016.25.1.05

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Active and passive exposure to tobacco smoke in relation to insulin sensitivity and pancreatic β-cell function in Japanese subjects2015

    • 著者名/発表者名
      Oba S, Suzuki E, Yamamoto M, Horikawa Y, Nagata C, Takeda J; Gifu Diabetes Study Group
    • 雑誌名

      Diabetes Metab

      巻: 41 ページ: 160-7

    • DOI

      10.1016/j.diabet.2014.09.002

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり

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公開日: 2017-01-06  

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