申請者らは約2万5000ペアの配偶者データを用いて、約5万名の配偶者のがん罹患後の本人の死亡リスクの解析を実施した。解析にあたりデータを、1)配偶者のがん罹患がない群、2)配偶者のがん罹患がある群にわけ、基準期間として1)群の生存期間、2)群の罹患前の生存期間を設定し、基準期間に比較し、2)群の配偶者がん罹患後に生じた、本人の全死亡、循環器疾患死亡、外因死亡(自殺・事故)の死亡率を算出した。解析にはポアソン回帰分析を用いた。結果、基準期間の死亡率に比して、配偶者がん罹患後の本人の死亡率は全死亡、循環器疾患死亡、外因死亡全てで上昇傾向にあった。この傾向は、性別層別化、年齢層別化(60歳未満、60歳以上)においても同様であった。 また、配偶者のがん罹患がある群の中で、配偶者が死亡している群、配偶者のがん罹患がない群で配偶者が死亡している群についても、配偶者死亡後の本人死亡率を算出した。配偶者罹患後の死亡率の上昇傾向と同様に、配偶者罹患および死亡がない期間を基準とした際の配偶者死亡後の本人死亡リスクについても、全死亡、循環器疾患死亡、外因死亡(自殺・事故)で上昇傾向が見られ、その値は配偶者罹患後の死亡率よりも高い傾向が見られた。
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