平成23~25年度文科省科学研究費助成事業、基盤研究C(一般、研究代表者)において、脳血管疾患の予防対策を今後一層推進するために、研究フィールドとして脳血管疾患と虚血性心疾患に関するコホート研究を36年から56年にわたって長期継続的に実施している住民の出血性脳血管疾患の新たな危険因子としての可溶性FasとIGF-1の可能性を、コホート内症例対照研究の手法を用いて、出血性脳血管疾患発症者を「症例」とし、居住地域・性・年齢を一致させた非発症者を「対照」として1:2にマッチングを行い、研究対象として分析した。69歳以下の比較的若年の出血性脳血管疾患発症者において、出血性脳血管疾患全体とくも膜下出血の発症者において、非発症者と比較して、IGF-1のみ低い傾向を認めた。平成26~28年度に研究実施予定であった文科省科学研究費助成事業、基盤研究C(一般、研究代表者)において、発症年齢が69歳以下の比較的若年発症者のみならず70歳以上の者も含めた、全年齢の発症者と非発症者で比較するとともに、従来明らかとなっている危険因子を含めた多変量解析を実施することによって、危険因子としての特にIGF-1の影響を明らかにし、予後に関する影響までを、当初28年度で研究を終了し、論文としてまとめ、投稿するところまで完了する予定であったが、検体を保存していたフリーザーの不具合等予定通りに進捗せず、研究期間を平成29年度まで延長することとなった。結果、高齢の発症者へのIGF-1の影響は若年者より少ない可能性があること、脳出血においては高血圧の影響が強く、一方、くも膜下出血は高血圧よりもIGF-1の低値の影響が強い可能性が示された。 平成29年度に測定終了の最終確認ができ、分析に必要なデータの収集も完了し、論文として仕上げ、現在投稿準備中である。
|