研究課題/領域番号 |
26460767
|
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
斉藤 功 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90253781)
|
研究分担者 |
山内 加奈子 愛媛大学, 教育学部, 研究員 (20510283)
加藤 匡宏 愛媛大学, 教育学部, 准教授 (60325363)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 疫学 / 糖尿病 / 自律神経系機能 |
研究実績の概要 |
本研究は自律神経系機能の低下が独立して耐糖能の悪化、もしくは糖尿病の発症リスクになるかどうか、地域住民約5千人のコホート研究により検討を行うことを目的とする。肥満の健康への影響が比較的小さい日本人において、自律神経系機能の低下は耐糖能異常を引き起こす要因として欧米で観察されている以上に深い関与があるかもしれない。 対象は、愛媛県T市ならびにO市において、すでに研究参加の同意を取得している2009年度の受診者1907人から、その後の5年間のヘモグロビンA1c(HbA1c)、BMI、腹囲周囲長、血圧、血清脂質、肝機能、喫煙状況、身体活動量についての情報収集を行った。結果、2009年度以降の5年間に、少なくとも1回以上の健診を受診した者は1592人(83.4%)であった。ベースライン時にすでに糖尿病型に該当した114名を除いた1478名について分析したところ、この5年間に新たに糖尿病型(HbA1c(JDS)6.1%以上、もしくは糖尿病服薬あり)を発症した者は68名(4.60%)であった。多重ロジスティック回帰モデルにより、新たな糖尿病発症の有無とベースラインのHRV指標である、SDNN、RMSSD、LF、HF、LF/HFとの関連をみたところ、有意なオッズ比の低下あるいは上昇は認めなかった。T市を対象とする横断研究において、HRV指標とインスリン抵抗性あるいはインスリン感受性との有意な関連を認めており、HRVの低下はインスリン感受性の低下に関連していることを報告した。これらの背景には、副交感神経の低下と末梢の筋肉組織におけるインスリン感受性の低下との関連が機序として考えられている。今後、さらに研究対象者数を増やし詳細な検討を行っていく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に予定していたサンプルサイズは概ね収集できた。
|
今後の研究の推進方策 |
現在1500例ほどの対象者数であるが、同様にサンプルサイズを増やし安定した分析ができる準備を整える。研究の計画は概ね予定通りに進んでおり、特に障害となる課題などは見当たらない。また、可能であれば、研究成果について学会発表や論文執筆の準備をしていく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
データの処理などの人件費に充填する予定であったが、26年度の作業が予定より早く終了したため次年度の作業にかかる人件費に充てることにした。
|
次年度使用額の使用計画 |
データ入力等にかかる人件費として使用する予定である。
|