研究課題
平成20年の人口動態統計による日本人の死因のなかで、肝疾患は16,229名、さらに悪性新生物のなかでは慢性肝炎および肝硬変を基盤として高頻度に発生する肝臓の悪性新生物によるもの33,660名は、わが国におけるがん対策として非常に重要な疾患である。睡眠呼吸障害と肥満との関連が疫学的研究によって明らかとなっている。しかし、睡眠呼吸障害が肝発がんや予後に関連するかは不明である。そこで、1)肝疾患患者におけるSDBの有病率の解明(とくに肥満やNAFLDとの関連性)2) 肝予備能力および線維化進行とSDBとの関連性 3) 肝細胞がんStage別のSDBの関連性 4) SDBの有無、重症度別とHIFやVEGFに関する検討 5) SDBと肝細胞がんの予後へ与える影響を中心として、疫学的な観点から解析を行う。密接な協力体制を持つ消化器専門医ネットワークを基盤として、肝臓疾患患者を対象として睡眠呼吸障害(Sleep Disordered Breathing: SDB)のスクリーニングを実施し、肝機能、肝予備能、肝硬変、肝細胞がん、がんの治療効果との関連性について調査解析を行う。特にSDBと肝細胞がんとの関連性について重点的に調査し、SDBと発癌との関連性についての探索的な研究を行う。同時に肝疾患(脂肪肝を含む肝炎、肝硬変、肝細胞がん)とSDBとの関連性を明らかにする長期的なプロスペクティブコホートのベースラインデータを整備するために、多施設共同疫学研究を実施する。現在、肝細胞癌症例を対象として、調査を実施しており、100例の登録が完了している。
3: やや遅れている
現在、研究対象者となる肝細胞癌患者の登録に難渋している。同意していただいた症例は100例にとどまっている。ただし、データ欠損はなく登録が進んでおり、精度高いデータの収集が進んでいる。肝細胞癌の治療自体が短期間入院となっっており、本研究への同意や質問調査票への記入に十分な時間が確保できていない。
本研究の意義について、対象者へ説明する時間を確保して、同意取得を行いたい。また、追加施設についても検討を行い、本研究のための症例登録を行いたい。本年度にはベースラインデータの解析を行い、横断的な解析を行う予定である。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件)
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