本研究は、研究代表者を中心に、研究分担者・連携研究者と研究班を組織し、モデル保険者の協力により分析用データベースを構築した。なお、本年度はモデル保険者として3つの保険者が本研究に参加し、2011から2015年の5年分データを収載した分析用データベースを構築した。収載した客体数は、それぞれ約330万人、160万人、140万人であり、大規模なデータを活用した多角的な分析が可能となった。 構築した分析用データベースを用いて、様々な分析を実施し、その成果を幅広く発表している。具体的には、健診の受診干渉に関する分析や、疾病別の発症リスク予測モデルの構築、メンタルヘルス発症リスクの分析などを実施し、日本公衆衛生学会や日本産業衛生学会などで発表でした。本研究の成果は、モデル保険者では保健事業として活用されているほか、地域医療構想などの政策立案の場においても活用されるなど、幅広く利用されている。 本研究の手法は幅広く利用が可能である。現在、本研究の手法を応用したがん研究費の分析を実施しており、またメンタルヘルスなどレセプトや健診結果を用いた分野別の分析にも有用であることが明らかになっている。今後はこのような手法がモデル保険者のみならず、様々な保険者でも利用可能となるよう、開発を進めることが重要と考えられる。また、本研究で構築した分析用データベースを用いた研究を幅広く実施し、新たなエビデンスの発表を実現したいと考えている。
|