研究課題
本研究は、厚生労働科学研究「岩手県における東日本大震災被災者の支援を目的とした大規模コホート研究」によって明らかになった仮設住宅居住者の健康課題に対し、ITを用いて健康支援を効率的、効果的に実施するための方法論を確立したものである。被災自治体には、これまで平成23年度からの被災者健診の健診データおよび特定健診等のデータが蓄積されている。これらの情報を有効に活用するためには、健康情報の分析とともにデータセンターの設置およびタブレット端末が活用できるシステムの開発が必要になる。岩手医科大学においては、被災者健診によって得られたデータを市町村で活用しやすい情報に加工するデータセンター機能を担った。自治体では被災者健診の他特定健診、特定保健指導のデータが蓄積されており、さらに家庭訪問によって得られた血圧等のデータが集積されている。自治体においては、これらのデータを連結することにより、心の健康度、睡眠障害、血圧、血糖等の健康診査結果において優先順位の高い住民を短時間に抽出することが可能となった。このようなデータシステムの構築により、優先順位の高い仮設住宅の住民にアプローチすることが可能となり、またタブレット端末を活用することにより、訪問時の血圧等の情報とリンクし現在の健康状態も把握することが可能となった。このシステムの開発により、被災自治体は、これまでの健診情報を効率的かつ有効的に活用することが可能となった。また、限られた保健師、栄養士等の資源を、より緊急性の高い住民に集中的に活用することも可能となった。被災自治体では、他自治体からの応援が現在も活躍しているところであるが、このようなシステムは他自治体からの応援のスタッフにとっても短期間で有効的に情報を活用できる手段となるものであり、汎用性が高いシステムである。また、今後起こり得る大災害にとってもモデルとなる可能性が高い。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件)
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