研究課題
わが国で開発された新しい血管機能検査CAVI(Cardio-ankle vascular index)は、これまでの血管機能検査が有していた血圧依存性や測定の局所性の問題を解決したことで、血管固有の硬さが分かるようになり、また糖尿病、肥満、高血圧、喫煙などのリスクでCAVIが高くなることから、今後の研究成果が期待される検査法である。本研究は、CAVIの高低をみることで将来の動脈硬化性疾患のイベント発生を予測できるかどうか、リスクを有する患者群で5年間の前向きイベント調査を行うものである。初年度の平成26年度は観察開始時のリスクとCAVIの関連(断面調査)について、1000例の5年間の前向きイベント調査ならびに解析が行われた。平成27年度は、症例数を1562例まで増やし、そのうち適応外を除外した1003例に対し、解析が行われた。平均follow-up期間は6.7±1.6年、90例(9.0%)が新規の冠動脈イベントを発症した。BaselineのCAVI値を元に4分位 に分けた。男性であること、将来の冠動脈イベントは、CAVIの分位が上がるごとに高かった。Cox比例ハザードモデルでは、CAVIが1上昇すること、男性、喫煙、糖尿病、高血圧が、冠動脈イベントに対する独立したリスクであった。この研究により、CAVIの高値は冠動脈イベント発症の独立した予測因子として十分なものと考えられた。CAVIにとってこのような報告は初めてのものであり、この成果は数回の国内学会での発表と、英文の原著論文での発表が行われた。平成28年度は、薬物治療の違い、死亡イベント、脳血管イベントに関するサブ解析を行い、現在発表準備中である。加えて、CAVIとBMIやリスクファクター、心血管に関連する英文論文発表を行った。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件)
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