研究課題/領域番号 |
26460782
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
金山 明子 東邦大学, 看護学部, 助教 (90536195)
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研究分担者 |
小林 寅吉 東邦大学, 看護学部, 教授 (10533028)
金子 明寛 東海大学, 医学部, 教授 (30185920)
菊地 京子 東邦大学, 看護学部, 非常勤研究生 (30648853)
瀧島 章子 東邦大学, 看護学部, 非常勤研究生 (10725899)
高田 紗希 東邦大学, 看護学部, 非常勤研究生 (70725928)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 医療関連感染 / 医療・福祉 / 衛生 / MRSA / 接触感染 |
研究実績の概要 |
大学病院勤務の看護師200名を対象とし、耳ピアス孔保有者は孔部分を非保有者は耳垂背面の1か所を滅菌綿棒で擦過し試料を採取した。試料を寒天培地に塗布し培養を行った。同時に対象者の手指を寒天培地に押し付け表面の細菌を採取し、培養を行った。発育集落のグラム染色、コアグラーゼ試験等により黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)を同定した。 耳ピアス孔保有看護師128名のうち、24名(18.8%)のピアス孔より黄色ブドウ球菌が検出され、耳ピアス孔非保有看護師72名の耳朶においては7名(9.7%)より検出された。耳ピアス孔保有者は非保有者に比べ高い割合で黄色ブドウ球菌が検出されることが明らかとなった。また耳ピアス孔から黄色ブドウ球菌が検出された看護師の半数からは手指からも同菌種が検出された。 耳垂部(耳ピアス孔および耳垂背面)および手指から検出された黄色ブドウ球菌のうち、それぞれ8/31株、6/31株が抗菌薬耐性菌であるMRSAであり、同一看護師の両部位からMRSAが検出された4例の各株は類似のPFGEパターン(染色体遺伝子制限酵素切断パターン)を示したことから、同一株が耳ピアス孔と手指の両方に存在することが考えられた。 以上のことから、耳ピアス孔保有例においてピアス孔および手指にMRSAを含む黄色ブドウ球菌が定着していることが明らかとなり、耳ピアス孔は手指を介した病院感染の要因となることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度において、試料の約半数以上を採取し、目的菌の一部菌種についての同定、抗菌薬感受性、遺伝学的解析を行った。 平成27年度に予定していた研究成果の中間報告のうち一部の成績について、平成26年度に報告を行った。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、残りの試料採取を行う。平成26年度採取試料の検出菌とともに、未実施株の菌種同定、抗菌薬感受性、遺伝学的解析を行う。 国際学会にて研究成果の中間報告を行う。
平成28年度は、研究成果の最終結果を踏まえ、耳ピアス孔管理方法とピアス孔保有医療従事者の手指衛生手順を提案する。 最終成果を学会および学術誌にて公表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた試料採取のうち約半数の試料を採取し、残りを平成27年度に採取するように変更した。平成27年度に行う試料採取用の器材、培養用培地、菌株保存用試薬を持ち越したため、次年度使用額を生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度に約100~150試料を採取し、培養、菌種同定および抗菌薬感受性測定、遺伝学的解析を行う。費用は試料採取用の綿棒、培地、および測定解析に用いる。
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