研究実績の概要 |
今回は、1996年から2013年までに事業場に提出された診断書名が、(1)心筋梗塞・狭心症 (2)脳梗塞・脳出血(くも膜下出血を除く)であった人の職業性ストレスとの関係を、交絡要因(年齢、教育歴、ライフスタイル(喫煙、飲酒、運動習慣)、服薬の有無(高血圧・高脂血症・糖尿病))を考慮に入れて解析を行なった。 方法は、1996年に職業性ストレス調査の回答した人に、2002年に調査回答した人を加えて(1996年に調査回答し再度調査回答した人も新たに加える)、1996年から2013年12月末までのコホート研究としてポアソン回帰分析を行なった。職業性ストレス調査で得られた仕事コントロール得点、仕事要求得点、仕事サポート得点をそれぞれ3分位した。また、仕事ストレイン群とその他群(仕事コントロール得点、仕事要求得点をそれぞれ2分位し、低仕事コントロールかつ高仕事要求群を“仕事ストレイン群”、他を“その他群”とした)の比較も行なった。なお、女性では該当する発症数が多くないため男性の30歳以上のみを解析対象とした。内訳は7160人で平均年齢44.9±8.3歳、総観察人年は923,617人年であった。 交絡要因を調整した後、(1)の発症において、“仕事ストレイン群”は“その他群”より相対危険度が0.65(p=0.17)と低い傾向が見られた。その他の職業性ストレスと明確な関係は認められなかった。 (2)の発症において、仕事コントロール高得点群に対して、仕事コントロール中得点群、低得点群の相対危険度は、それぞれ3.39(p<0.01)と3.12(p=0.01)であった。また、仕事ストレイン群がその他群に比して相対危険度は1.78(p=0.03)であった。これは職業性ストレスが脳梗塞・脳出血発症に影響される可能性を示唆している。
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