研究課題/領域番号 |
26460788
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
由良 晶子 近畿大学, 医学部, 講師 (80142595)
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研究分担者 |
藤田 裕規 近畿大学, 医学部, 講師 (10330797)
伊木 雅之 近畿大学, 医学部, 教授 (50184388)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | リスク評価 / 骨折 / 骨粗鬆症 / 予防医学 |
研究実績の概要 |
骨粗鬆症治療開始基準となっているFRAXの有効性を日本人男性で初めて検証し、FRAXが対応しない椎体骨折のリスク評価モデルの樹立を目指す3年計画の研究の初年度を概ね予定通りに実施した。 (1) 胸腰椎のデジタル画像解析(担当:由良、伊木):1539人の5年次調査時椎体画像の内、855件について椎体計測を行い、変形のあった者についてbaseline画像を同様に解析した。椎体の前縁高、後縁高、中央高のいずれかがベースライン時より20%以上低下し、かつGenantのSQ法でGrade 2以上である場合に、その椎体を骨折と判定し、34人、37骨折を確認した。 (2) 死亡者に対する骨折に関する補完郵送・電話調査(担当:藤田):5年次調査前に死亡した者について症候的骨折の発生状況を郵送+電話調査を行い、死亡者138人の内14人が骨折していたことを把握した。 (3) 骨粗鬆症性骨折発生リスク評価モデルFRAXの有効性の検証(担当:由良):FRAXによる骨折発生予測確率の計算を完了し、(2)で得らた実測値と比較したところ、実測値は予測値の約1/3だった。但し、ROC曲線下面積は0.679でFRAXの原典より大きかった。 (4) 保存血清中のsclerostin濃度の測定(担当:由良、伊木):直近の研究からsclerostinよりもesRAGEが骨折予測に有望である可能性が高くなったので、後者の測定を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
椎体骨折の判定に時間を要しているが、予想の範囲内である。27年度中には完了できる。 死亡者の骨折状況は予定通り調査終了し、FRAXの有効性の検証もほぼ完了した。 最近、Advanced glycated end-product (AGE)の一つであるPentosidineの増加によってコラーゲン線維の生理的架橋が減少して加齢架橋が増加するため、コラーゲン線維が弾性を失い、骨が脆くなることが報告され、それを防ぐ生体内機構の一つとしてAGEのおとり受容体であるendogenous soluble receptor for AGE (esRAGE)が注目された。sclerostinは骨折予測に有望な骨関連指標であるが、本研究ではPentosidineを測定済みであることを考えると、その作用を疎外するesRAGE濃度と両者の濃度比を考慮することが本研究の目的である骨折リスク評価を達成するために必要と考え、esRAGEの測定を優先した。
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今後の研究の推進方策 |
(1) 胸腰椎のデジタル画像解析(担当:由良、伊木):残る684件の椎体骨折の計測を実施し、1539人における椎体骨折の発生状況を把握する。 (2) Baseline時の腰椎imageからのTBSの計算(担当:由良、伊木):予定通り実施する。 (3) 椎体骨折発生リスク評価モデルの開発(担当:藤田、由良):(1)の完了後、速やかに、骨密度、既存椎体骨折、骨代謝マーカー等を用いたロジスティック回帰かポアソン回帰によって、男性における椎体骨折リスク評価モデルを確立する。 (4) 保存血清中のsclerostin濃度の測定(担当:由良、伊木):26年度に実施しなかったsclerostinの測定を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた保存血清中のsclerostin濃度の測定よりもesRAGE濃度の測定を優先したため、測定試薬キットの価格差により残額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
sclerostin測定用ELIZAキットを購入する。測定の補助者の人件費を支出する。TBS iNsight softwareを購入するか、使用許諾契約を締結してTBSを計算する。研究成果発表のための旅費を支出する。
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