研究課題/領域番号 |
26460789
|
研究機関 | 独立行政法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
竹上 未紗 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究開発基盤センター, 室長 (50456860)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 脂質管理 / 循環器疾患 / コホート研究 / 地域住民 |
研究実績の概要 |
本年度は、都市型コホート研究である吹田研究のデータを用いて、脂質異常症の診断基準に用いられている指標に加え、non-HDLコレステロール、LDLコレステロール/HDLコレステロール比(LH比)と循環器疾患発症リスクとの関連を検討した。 解析対象者は、吹田研究のベースライン調査(1989-1994年)に参加した6407人のうち、循環器疾患の既往がなく、Friedewaldの式によりLDLコレステロールの値が算出可能(食後8時間以上の空腹時採血で、中性脂肪400mg/dl未満)な5154人(男性, 46.7%, 平均年齢54.6歳)とした。平均追跡期間は、13.0年間であった。解析の結果、non-HDLコレステロールは、冠動脈疾患の予測指標としてLDLコレステロールと遜色なく臨床上有用な指標であることが示された。また、LH比は男性において最も高い四分位における虚血性心疾患の発症の多変量調整ハザード比が約2倍と有意に増加しており(vs. もっとも低い四分位),LH比が高いほどハザード比が高くなる有意な関連もみとめられた。一方,女性では,LH比と虚血性心疾患発症リスクとの関連はみとめられなかった。男性では、LDLコレステロールが相対的に低い者に限っても同様の結果が得られ、LH比は虚血性心疾患発症のハイリスク者を特定するのに有用な指標である可能性が示唆された。LDLコレステロールやHDLコレステロールといった脂質値そのものよりもLH比といった各リポ蛋白に含有されるコレステロールの比のほうが、単一のコレステロール値よりも心血管疾患の予測能が高い可能性があり、今後経時的なデータを用いて検討を進める予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、平成24年の計画に従い、吹田研究のデータを用いて、脂質関連指標と循環器疾患発症リスクとの関連についての検討を行い、学会発表を行った。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は計画に従って、脂質異常症関連指標の経時的変化の記述と循環器疾患発症リスクの検討を行う。その準備として、吹田研究の経時的データ分析、脂質異常に関連する指標と関連する要因の検討のためのデータセットの作成を行う。吹田研究は長期間にわたるコホート研究であり、ベースラインの登録期間も多年度にわたっていることから、経時的分析のためには、膨大な情報を整理する必要がある。その後、ベースライン調査から観察終了までの変化の値と循環器疾患発症リスクの関連を検討する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、すでにデータベース化されているものを使用したことと、追跡調査に見込んだほど人件費が必要でなかった。そのため、当該助成金が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度は、データベースの作成、学会参加費、論文投稿費に費用が助成金を使用する予定である。
|