デング熱、ジカ熱などの感染症媒介蚊であるヒトスジシマカの生態調査をこれまでに引き続き行った。また、感染症媒介蚊による感染症ハザードマップの作成を行った。 (1)年による気候変動があることから、長野県内におけるヒトスジシマカの発生動態をより正確に把握するために、上田市(標高460m)定点において、継続して原則毎日、6月から10月にかけて、ネット法で吸血飛来するヒトスジシマカ成虫を捕獲し、飛来密度を計測した。成虫の吸血飛来数のパターンに再現性があるのかを検討した。特に気温との関連性は重要であると思われた。(2)ヒトスジシマカの1日の吸血飛来時間帯を明らかにするために、7月、8月、9月に、午前7:00から翌々日の午前7:00までの48時間、3時間おきに成虫の吸血飛来調査を行った。季節により、吸血飛来時間が異なっており、夕方と朝方に、相対的に吸血飛来密度が高い傾向を示した。(3)山梨県内におけるヒトスジシマカの生息分布を明らかにするために、未調査都市の調査を実施した。特に県北部の標高の高い小淵沢地区を重点的に行った。成虫/幼虫の両方が捕獲されるところ、成虫のみが捕獲されるところ、両者が捕獲されないところの3パターンがあり、平均気温との関連性が示唆され、標高と分布との関連性が明らかとなった。(4)長野県内のヒトスジシマカの分布パターンが、内陸性気候地域の分布パターンに一般化できるのか、山梨県など、近県の分布調査結果をまとめ、検討した。(5)感染症媒介蚊のハザードマップ作成を行い、学会にて発表を行った。(6)学会発表は、積極的に実施でき、論文執筆も今後、積極的に行っていく予定である。
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