研究課題/領域番号 |
26460797
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
塚原 照臣 信州大学, 学術研究院医学系, 講師 (50377652)
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研究分担者 |
野見山 哲生 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (70286441)
津田 洋子 信州大学, 学術研究院医学系, 助教 (80512904)
柳場 由絵 独立行政法人労働安全衛生総合研究所, 健康障害予防研究グループ, 研究員 (90467283)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 産業保健 / オフセット印刷工程 |
研究実績の概要 |
本調査研究は、胆管がんの原因となる1,2ジクロロプロパン、ジクロロメタンの使用状況、これらの代替物質の使用実態を調査することを目的としている。代替物質に関しては、トリメチルベンゼン、ミネラルスピリットの使用増が予想されることから、これら物質の取扱作業者を対象に、個人曝露濃度、生態影響の調査を行う。 1)オフセット印刷業における事業場実態調査 長野県内の1印刷工業会1支部29社を対象に、印刷作業における化学物質の使用実態を調査した結果に基づいて、化学物質のリスクアセスメント手法の1つであるコントロールバンディング法を用いて評価を行った。得られた知見については、Journal of Occupational Healthへ論文投稿した。ジクロロメタンの使用は2010年に比し2013年で減少しており、胆管がん事例発生後、使用は減少していた。1,2ジクロロプロパンは使用されていなかった。小規模事業場にてリスクレベル3、4の物質が含有されており、事業者は地域産業保健センターを活用し、対策を講じる必要性があると考えられた。 2)オフセット印刷工程の個人ばく露濃度ならびに健康影響調査 オフセット印刷工程を有する1事業場の労働者を対象に、化学物質(トリメチルベンゼン、ミネラルスピリット等)への個人ばく露濃度ならびに健康影響調査を、半年に1回調査を実施した。質問紙調査、医師による問診・診察、化学物質の個人ばく露濃度、尿中代謝物の測定、血液検査、を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本調査研究は、1)オフセット印刷業における事業場実態調査、2)オフセット印刷工程の個人ばく露濃度ならびに健康影響調査の2つを行っている。1)は、事業場調査を終え、協力事業場への報告を行った。さらに、コントロールバンディング法を用いたリスクアセスメント評価の知見を論文投稿した。2)は、半年に1回、社内における定期健康診断、特殊健康診断の機会に調査を継続している。いずれも予定通りに進行していることから、本調査研究は、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
1)オフセット印刷業における事業場実態調査 実態調査とその結果報告、ならびにリスクアセスメント評価を終えた。調査結果に基づいて、支部や個別の事業場からの問い合わせに応じて現場課題について対応する。 2)オフセット印刷工程の個人ばく露濃度ならびに健康影響調査 社内における定期健康診断、特殊健康診断の機会に今年度も調査を継続する。
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次年度使用額が生じた理由 |
使用総額は、おおむね見積もりどおりの使用となった。細目において、論文取りまとめに伴い、その補助作業のための人件費については予定を上回った。旅費は、初年度ほど調査対象事業場に出向く回数が減じたことから、予定を下回った。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は平成28年度請求額と合わせて、下記のように使用を計画している。 最終年度においては、収集情報の整理、解析作業の補助など知見の取りまとめのため、主に人件費に使用する予定である。高濃度ばく露が想定される作業者に対する個人ばく露濃度測定、作業環境測定について、ここまでの調査結果を踏まえて費用を投じる可能性はある。
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